第一話 先を知る人

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 「意味が分からない。私が迷える?」 だけど少し考えてみれば何が原因かすぐに思い当たった。だけど口を開こうとするとためらってしまう。 「どう? 心当たりあった?」 優しい声色で車掌は聞いてくれた。  乗車している時点で話さないといけないし…… 「話さないと帰れないんですよね……」 「その通りです」 「わかりました……私には義兄がいるんです。義兄は幼い頃に両親を亡くし、私たち家族とともに育ちました。日々の毎日が楽しかった。よく笑いよく泣きよく喧嘩しました。ですがそんなある日……私の両親が撃たれたんです」 両親は体を張って私たちを逃がしてくれた。
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