πρόλογος(プロローグ)

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 もう一人は冷酷そうな髪の長い青年。祭司(さいし)の家の息子で父親もろとも腐っており、親子でいくつもの売春宿や賭博場(とばくじょう)を経営し、王族や貴族、将軍たちの弱みを(にぎ)っている。大神殿の長である父親仕込みの詐欺師(さぎし)で、プライドは高いが本当は自信のない人間を見抜く目まで受け継いだ。ナイル川流域の今年の豊作ぶりを占えると(しょう)し、上流階級を相手に投機の話を持ちかけ、借金漬けにする。世間体と家の凋落(ちょうらく)天秤(てんびん)にかけさせ、まだ年端(としは)もいかない娘を差し出させると、自分が飽きるまで監禁したところで、家柄の良い娘に女神の仮装をさせる趣味専用の売春宿に送り込む。人買いからは王様扱いである。  いずれ劣らぬ手の(ほどこ)しようのない不良学生たちで、生涯にわたって苦しめる女の数の、まだ十分の一も過ぎていないというところ。王立図書館の学生ということでいくつも不祥事(ふしょうじ)をもみ消してきた貸しがある。 赤髪の男が依頼の最後に、解決したら先に捕まえてきたほうに引き渡すと付け加えると、二人の学生は目を輝かせ、(こぶし)を突き合わせて音がするほどなすりつけ合い、興奮を隠さない。
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