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左右に振って逃げるジャンダリの腰を主人の両手が固定しようとする。主人の片手が離れたすきに勢いよくかがんで腰を脱出させるが、鍛冶屋が熱した鉄をハンマーで打つように音を立てて背中を打たれて、しぶしぶ立ち上がる。
その間にジャンダリは右手を伸ばし、主人のベッドに無造作に乗っている自分の脱がされたキトン服の端をつかんだ。
ジャンダリが足を伸ばすと主人に比べて足が長いため、今度は主人は興奮した馬をなだめて静めるかのようにジャンダリの腰を大きい円を描いて撫でた。動悸が激しくなり、呼吸が抑えようもなく荒くなる。
「どう、どう……。そうだ、良い子だ」
ジャンダリは指を蛾の幼虫が進むように屈伸させて、少しずつ自分のキトンをたぐり寄せる。ジャンダリのキトンはだいぶ長い間着ているため、亜麻の繊維で織った布はしわがたくさん付いてしまっている。そのしわの下、着た時の肩の部分に何かこぶしくらいの大きさの物体が引っかかっていた。額から汗が目に流れて沁みる。
「動くなよ、ジャンダリ……」
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