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「昨日はジャンダリが漁で稼いでくれたおかげでな、今日の軍資金はたっぷりだ。まったく数年前に買ったときにはひょろひょろで痩せた子供だったもんだが、いまやうちの立派な稼ぎ手だな! ジャンダリは。今日はお祭りでロドス島のワインでもアンフォラ〔ワインや穀物の輸送によく使われた大甕〕いっぱい買おうかと思っているが、ジャンダリにも好きな書物を買ってやろうかなと思っててな。奴隷のくせに文字が読めるなんて、たいした勉強家だよ。なあジャンダリ?」
中庭には誰もいなかった。
主人は妻を迎えるように両手で広げたままで、ぐるっと見まわした。貯蔵庫やジャンダリともう一人の奴隷用の作業部屋兼寝室、台所――。
「……なあ、ジャンダリ?」
主人が自分の部屋を振りむくと、ジャンダリの姿はもうなかった。
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