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2 女神たちの下で
主人の家から飛び出ると、太陽のまぶしさにジャンダリは一瞬目がくらんだ。
両手に物を持っていたので、右手に持っていた陶器製の奇妙な物体を一瞥してから懐に入れる。さきほどジャンダリを助けてくれた魔法のデバイスだ。奴隷仲間のカインゾゥがプレゼントしてくれたものだった。
もう片方の手には主人の部屋からくすねた石榴を一株もっている。
――カインゾゥに尻のお礼に行くか。
空いた手をひさしにして遠くを眺める。なんだか街がざわざわしている。港に近い丘の上に建てられた、プトレマイオス朝の歴代の王たちによる増築に増築を重ねた王宮の前に人が集まっているようだった。今日はプトレマイオス三世恩恵王の娘で、幼くして亡くなったベレニーケー王女の祭日だ。暁のころから王宮の一部を開放しているのだ。
ベレニーケー王女がなくなったとき、エジプト人の神官団がベレニーケー王女を神として祀ることをカノーポス決議において決め、恩恵王に申し入れた。
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