πρόλογος(プロローグ)

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 プトレマイオス朝の(ファラオ)たちの書物に対する執着(しゅうちゃく)は異常だった。  ナイルの恵みである穀物(こくもつ)や金銀ガラス細工、レンガや工芸品、戦争で捕虜(ほりょ)にした奴隷(どれい)などの取引で得た利益を惜しみなくつぎ込み、ギリシア語で書かれたパピルスの書物を買い(あさ)っていた。  多額の保証金を渡してギリシア三大悲劇作家を「写本(しゃほん)したら返す」と言ってアテナイの公文書(こうぶんしょ)館から借りておきながら王立図書館に納めてしまい、代わりに写本を返したのだった。金で解決できることならプトレマイオス朝廷にできないことはない。  アレクサンドリアに訪れる者は書物を携帯していないか入管所(にゅうかんじょ)で調べられた。そしてアレクサンドリアに訪れるものは一冊の書物をプトレマイオス朝廷に寄贈(きぞう)しなければいけない、という法律まであった。
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