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序章 絶望
私は……世界に絶望している。
当たり前の日常……そんなものどこにあるの?
そんな世界なんか……あるはずないのに……それを望む私がいる。
普通の人が見ている世界には生きている生き物か、死骸しか存在しないし、それしか見えていない。
私にはそれ以外の説明ができない妖モノも人が纏うオーラのような色も見える。
妖モノは人と異なるものであれば簡単に無視はできるが、稀に人の姿をしたモノが現れる。私からしたら人と人の形をした妖モノの区別が出来ずに、接してしまうことがある。結末は言うまでもない。
人が纏うオーラは多分感情的なものだと思う。大抵の人は色んな感情をどこかに隠していてそれが見えた時に人の表裏に触れることとなる。笑っているのに黒いものが覆いかぶさるように見えた時に恐怖を感じる。顔は笑っているのに心はドス黒い。そんなことができるのはきっと人間だけだろう。そう考えると人も相当怖い存在に感じる。
そんなもの視えなくていいのに……視たくないのに視えてしまう。
視えていいことなど一度もない。
こんな能力なんていらない。
ただ“フツウ”に暮らしていきたいのに……。
ただ“フツウ”に人と接して話したいだけなのに……。
その普通はきっとこの先も訪れることはない。
もしそれが叶わないのなら……この世界から……。
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