113人が本棚に入れています
本棚に追加
第六話 邂逅相遇
「きゃっ!」
「おっと。ごめんね。あれ? 君は……」
突然現れた男の子に驚いた彩は、その拍子に手に持っていたお弁当を落としてしまう。それに気が付いた緑色の生き物はお弁当を目掛けて向かって来る。
「え? なに?」
緑色の生き物はお弁当に興味深々で目をキラッキラに輝かせ、両手を広げ、彩のお弁当に向かって突撃してくる。
「きゃっ!」
「ぎゃっ!」
と潰れたようながしたかと思うと、緑色の生き物はフワフワしたものに包まれ遠ざかっていく。
「うわっ、泥だらけ。ばっちぃ」
フワフワの正体は狐のような生き物の尻尾。狐の大きさは通常サイズで尻尾だけ大きくなっている。
ドンッ! 緑色の生き物が逆さまに落とされる。
「うっぺ!」と緑色の生き物は落とされた衝撃で声を上げる。
「金平糖、乱暴だな。そっと下ろしてあげなきゃ。メロンソーダくん、大丈夫?」と緑髪の少年が緑色の生き物に声をかける。
えと……メロンソーダくん? あ、緑色だから?
緑色の生き物は幼稚園児のような大きさで、頭にはお皿のようなもの、背中には甲羅のようなものを背負っている。これは……よくみると河童?
あと、金平糖? 狐……コンコンのコンだから? ってこの名前、聞いたことがあるような?
彩が不思議そうに首を傾げ考えていると、金平糖が電車の中で出会った銀髪で動物のような耳と尻尾をつけた青年に変化する。そして金平糖はメロンソーダの甲羅をガッチリと掴む。
「あー! やっぱりあの時の!」と彩は金平糖に指をさす。
金平糖は鋭い眼差しで彩を睨みつける。前にあった時とは別人格のような表情をして。
「でも少し雰囲気違います?」
今の金平糖の姿は髪が短い銀髪で声も違っている。前にあった時は……。
「前にあった時は、金平糖が僕に憑依していたからね。あの時は髪が長かったよね」と緑髪の少年。
「ですです! ん? 憑依?」
「うん。わかりやすくいうと、合体的な? 二人の力を合わせる的な? ちなみに僕の妖力が大きいから髪の長さが変わるんだ」
あ! この人があの時の人なのか! 葉くん!
「少し難しいですが、わかりました!」
彩は目がキョトンとし口をポカンと開け、理解が出来ずフワフワっとしている。とりあえず理解はしきれないが納得したようで両手をパンと叩く。
「お前。その顔! 絶対理解してないだろ」
金平糖はヤレヤレと諦めた表情をみせ、大きなため息をつく。
最初のコメントを投稿しよう!