キミノネ

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 「やい、チビ助!」  あの頃より低く、大人の声になった康平くんのいつもの台詞に、わたしははっとして我に返った。大人になってもあのニタニタ笑う顔は変わらない。  「もー、だから、そのチビ助って言うのやめてよ」  わたしは眉間にしわを寄せた。  「詩歩が一八歳になってもチビだからだよ!」  確かに。  高校三年で背の順だと前から三番目であるのは事実だ。  「身長には恵まれなかったけど、歌の才能があるからいいの!」
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