キミノネ

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 「おれ、思っていたよりもずっと弱いんだ」  「そんなことない!」  わたしは康平くんの手を握った。  そして、目を閉じて、鼻で大きく息を吸い、わたしは歌った。  それは、あの時  康平くんが弾いてくれた曲と同じ――アヴェマリア  薄っすらと目を開くと、歌を聞いた康平くんは目から溢れるように涙を流した。  康平くんはわたしの胸にもたれかかっても、わたしは歌い続けた。
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