ブレイク・アップ

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 自宅に帰った私は、三本の箒を全て床に並べた。  さて、どうしようか。  口を開けば悪口ばかり言う同僚、お金を貸して欲しいときだけ連絡してくる友人。  一掃してしまいたい人間関係なんて、いくらでもあるのだ。  でも、大事なのは優先順位。一番煩わしいものを片付けたい。  箒を眺めて考えていると、カバンに入れていたスマホが震え始めた。  電話をかけてきたのは、母だった。  一ヶ月に一度は近況確認の電話をかけてくる母は、近頃「まだ結婚しないのか?」と口煩い。  半年以上前に弟が結婚し、それからより煩くなった。 「はい」  うんざりしながら電話に出ると、母がすぐさま話し始めた。  近所のなんとかさんの娘さんが結婚したとか、友達の家に孫が産まれたとか。そんな話が延々と続く。 「娘さんの結婚はまだなの、っていつもご近所の方に言われるのよ。お母さん、その度にいつも気まずくて。だから、あんたも早くいい人見つけなさいよ」  話の途中途中で、母がそんなふうに小言をぶつけてくる。  適当な相槌を打って電話を切ったあと、私はぐったりと疲れてしまっていた。
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