ブレイク・アップ

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 今は仕事が楽しいし、私の結婚なんて正直放っておいてほしい。  そもそも、ストーカー男と知り合うハメになったのだって、母が結婚を急かすからだ。  そうでなければ、あの合コンには参加しなかったし、ストーカーに付き纏われて心的ストレスを被ることだってなかった。  考えるうちに、今の私にとって一番煩わしいのは、母との関係であるように思えてきた。  母との会話ですっかり不快な気持ちになっていた私は、冷静さを欠いた心で『ブレイク・アップ』のロゴが入った青ペンを握った。  それから勢いのままに、箒の柄の部分に母の名前を書き込む。  母の名前を書いた箒で、頭を祓い、肩から腕にかけて左右両方とも祓うと、不快な感情や苛立ちが消えてすっきりとした。  そうして一週間箒を使い続けたあと、私は異様に爽快な気分になっていた。  これでもう、母から不快な電話もかかってこないだろう。  
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