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「深見いい! よかったねええ!」 「やりやがったよこの子はちくしょー! お似合いだと思ってたんだよお!」  衝立の陰から雪崩のように次々と従業員たちが押し寄せてきた。 「まあまあありがとうございます、檜垣先生……! よろしくお願いいたしますね。この子は真面目で本当にいい子なんです。う……あらやだ泣けてきちゃう」 「やーだ店長、あなたは母親ですか」  店長……。先輩……。  思いの限り抱きつかれて頭を撫でられて、笑いに包まれる。  檜垣先生も穏やかに微笑んで見守っていた。  ほら、深見。いいからさっさと返事しなよ!と肘で突かれて、涙を拭いあらためて先生に向き直る。 「私も……そばに、一緒にいたいです。――見つけてくれてありがとう」
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