168人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
「実は待ってる、二人。クリスマスだし」
「!? そ……そんな、いきなり……わ、私こんな格好だし」
せっかくのデートだしと、いつものデニムはやめて正解だったが……。
ただのチュニックワンピースにブーツという、庶民丸出しの自分の出で立ちを見下ろす。
待ってくださってるからとはいえ、突然こんな格好でホントにノコノコ押しかけるわけには――
「別に変じゃないよ? 気になるなら着物でも買っていく?」
「そういう意味じゃな……え? ちょ、ま……待って」
いいからいいから、と恋人繋ぎした手をひいてご機嫌で駐車場に向かいだす御曹司。
じ……地味がいい、やっぱり。
地味に、堅実に、一歩一歩進ませてー!
……という心の叫びが彼に届くことは――――おそらく、ない。
――おわり――
最初のコメントを投稿しよう!