永遠の呪い

3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
親鳥(おやどり)は、(ひな)たちを平等(びょうどう)(あい)していた。 (ひな)たちの(はなし)(すべ)()き、(とき)(きび)しく(あい)(そそ)いだ。 ……最初(さいしょ)()まれた雛鳥(ひなどり)には、(とく)(きび)しく(せっ)していた。 でも、(ほか)(ひな)たちが()てからだけ、 親鳥(おやどり)雛鳥(ひなどり)(やさ)しくした。沢山(たくさん)(あい)(そそ)いだ。 (そう)して、()(あさ)雛鳥(ひなどり)(つめ)たくなっていた。 …………雛鳥(ひなどり)(ころ)したのはだぁれ ? 」 イヴは、薄暗(うすぐら)いバーカウンターの()こうでカクテルを(つく)(なが)突然(とつぜん)そう(つぶ)いた。カウンター(せき)(すわ)って()二人(ふたり)は、質問(しつもん)(こた)えを(かんが)えているのか(あたま)(ひね)る。 「ん〜、親鳥(ひなどり)じゃないん ? 」 「(ほか)(ひな)たち……かな ? 」 出来(でき)たカクテルをグラスに(そそ)ぎ、二人(ふたり)(まえ)()くとイヴは(さら)質問(しつもん)(つづ)けた。 「()うして、そう(おも)ったの ? 」 「(おれ)は、(とく)理由(りゆう)()いわ」 「理由(りゆう)か……(ひな)たちが()(あと)に、親鳥(おやどり)雛鳥(ひなどり)(やさ)しくしているのを(ひな)たちが()てしまい嫉妬(しっと)したから……とか…………」 猫耳(ねこみみ)少年(しょうねん)は、何故(なぜ)得意気(とくいげ)にそう()ってカクテルに(くち)()ける。()(となり)(すわ)っていた綺麗(きれい)黒髪(くろかみ)女性(じょせい)は、グラスを()った(まま)小首(こくび)(かし)(こた)えた。 「アンタ()らしいわね。 ()ず、マオは半分(はんぶん)正解(せいかい)だけど野生(やせい)(かん)にばかり(たよ)らずもっと(かんがえ)えた(ほう)()いわよ。……珠夏(シュカ)短絡的(たんらくてき)()うか、単純(たんじゅん)表面的(ひょうめんてき)にしか状況(じょうきょう)理解(りかい)出来(でき)てない(よう)ね」 (おも)った(こと)(つつ)(かく)さずきっぱり(つた)えると、イヴはつまみの用意(ようい)(はじ)める。 「えー……じゃあ、(こた)えは(なん)なのさぁ」 「(わたし)()きたい」 「そうね。 ……あたしもアンタたちも(むかし)(いじ)めや虐待(ぎゃくたい)にあってたじゃない ?  だけど、本当(ほんとう)時々(ときどき)(なん)()まぐれか(いじ)()(やさ)しくしてくれる(とき)があったのよね。アンタたちは()うだった ?  まぁ、(なに)()いたいかって()うとだ。 …………(いじ)められて(かん)じた(くや)しさや(にく)しみ。(やさ)しくして(もら)った(とき)(よころ)びと安心(あんしん)(いま)当時(とうじ)()(かえ)った(とき)。アンタたちの(こころ)(よみ)感情(かんじょう)は……どっちの(ほう)(おお)きい ? 」 二人(ふたり)()んでいたカクテルのグラスを同時(どうじ)にテーブルに()くと、一呼吸(ひとこきゅう)()いてから夫々(それぞれ)がイヴの質問(しつもん)(こた)えた。 「(いじ)められて、(くや)しかった感情(かんじょう)のが(おお)きいかな……」 「(おれ)も」 「でしょ ?  ……(あか)ちゃんてね。愛情(あいじょう)()いと()んじゃうのよ。 ひょっとしたら雛鳥(ひなどり)は、(ほか)(ひな)たちが()(あと)一番(いちばん)可愛(かわい)がられていたのかもしれないわ。けれど、雛鳥(ひなどり)(きび)しくされた(とき)(かな)しみや(つら)さを(わす)れられず愛情(あいじょう)()えていた…… だから、直接的(ちょくせつてき)では()いけど雛鳥(ひなどり)(ころ)したのは親鳥(おやどり)なのよ」 そう()(なが)らイヴは二人(ふたり)(うし)ろにある(まど)へと視線(しせん)をやり、夜空(よぞら)(つめ)たく()らす(つき)を……(かな)しそうな()見詰(みつ)める。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!