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俺の呪われた青春はラッキースケベから始まる。
バレーボール部が使うシャワー室は男女共同で、時間差で別けている。月水金は女子が先に浴び、それ以外の日は男子、と代わりばんこに。部活の間はシャワー室はもちろん空だ。だから夏の暑い日に、俺は生徒会の仕事を片付ける合間、時々こっそりバレー部のシャワーを拝借する。生徒会長としてあるまじき行為なのかもしれないが、汗べっとりのまま机に向かっているのも人としてあるまじき行為だと思うし、俺は下校後は直接塾に行く。満員電車に乗る前に汗ぐらいは落としておきたい。
それに、その日は木曜日だったので、下手しても入ってくるのは男子だと油断していた。まさか先客がいるとは夢にも思わず、腰にタオルを巻いただけの俺は鼻歌を歌いながらシャワー室のドアを押し開けた。
打ちつける冷水に縮み上がった肌色の曲線が目に飛び込んでくる。彼女は気持ちよさそうにちょうど両手を天井に向けて伸ばしていたので、その全裸姿は一瞬の内に俺の脳裏に焼きついた。乳首の色からヒップの形までなにもかも。俺は尻もちをついてしまい、あわわ、と自分でも意味不明なことを口走る。
彼女は俺の方に視線を向ける。痴漢っ! と絶叫され、俺の儚い生徒会長人生が終わると身構えた。しかし彼女は恥ずかしそうにもせず、人差し指を唇に当てる。
「叫ばないでね。あたしバレー部じゃないから」
俺は震えながら彼女を指差す。「……ひ、ひっ」
「なに?」彼女は首を斜めにする。
そして俺は――ああ、神さま、俺はどうしてこれほどまで馬鹿なのでしょう――俺は彼女の胸あたりを指で示しながら「ひ、ひ、貧乳!」と叫んでしまった。
彼女はカッと赤くなり、足元に置いたシャンプーのボトルを蹴った。
今でも俺は、あの時の鼻血がボトルを思いっきり顔面に食らったためなのか、彼女の裸体がエロすぎたためだったのかわからない。わかるのはただ一つ。俺は彼女、夜桜純恋に一目惚れしてしまった。
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