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温かい小さな手を握り、“何か”から逃げるようにひたすらに走る。 後ろを振り返る余裕はない。ただひたすらに走る。躓きそうになったのか、時々重くなる小さな手を強く引きながら。 途中でふと、握っていた手が軽くなった事に気づく。その手が酷く冷たくなっていることにも。 恐る恐る振り返ると、握っていた手は手首までを残して私の手からぶら下がっていて、誰の手かも分からなくなっていた。 背後には血に濡れた私の足跡だけが残っている… 何が起こったのか分からず、頭が追い付かない。ただ目の前の事態に戦慄し、悲鳴をあげる。 ーいつもそこで目が覚める。寒い冬でもじっとりと寝汗をかき、心臓が早鐘を打つ。
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