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僕が生まれたあの日から数カ月がたった。
あれから僕は赤ん坊生活を楽しんでいた。
母親の名前は
【ヴァイオレット・ユーヒティナ】
父親の名前は
【ジールフィア・ユーヒティナ】
と、言うそうだ。
そして僕に与えられた名前はアルフィアというらしい。
はじめて僕の名前だと理解したとき、乙女ゲームで言うラスボスに近い悪役に転生したのだと知った。
少し驚いたが、この役なら登場人物達を少しでも幸せにできるかもしれない。
そう思って嬉しかった。
母と父は忙しそうだが、ほとんど毎日僕に会いに来ている。
ほとんどってのは、僕が寝ている間に来て帰ってしまうこともあるからだ。
だから僕のいるこの部屋には、執事が一人いてたまに少し高齢の執事さんが来るくらい。
でもたまに高い声で楽しそうな声がたくさん聞こえるときがあるから、多分メイドさんたちだと思った。
赤ん坊ということで特にすることもなく暇だった僕は魔力を制御してみることにした。
もちろん僕からやろうと思ったわけではない。
転生のときにあったイルト様が、ある日夢の中に出てきて
イ「やることないなら、魔力を制御してみたりすれば〜?」
と、言っていたからである。
そうしてはじめた魔力制御。
制御って言ってもコントロールの練習で体に魔力をぐるぐるさせるだけらしい。
なので今日も魔力をぐるぐるさせている。
これがなかなか難しかった、気を抜くと思わず
ア「だぁ〜、う〜」
などと声が、出てしまう。
まぁ、出たとしてもいつもはいる執事さんが反応するだけ。
執事さんの名前はレオハールと言うらしい。
ある日父親と母親がパパとママと言わせようと頑張っていたが無理だった日。
二人が去った後でそっと話しかけてきた。
レ「こんにちは、坊っちゃん。僕の名前はレオハールっていいます。レオハールですよ〜」
っと少しデレデレした顔で話しかけてきた。
その日から、父親と母親が頑張った日は、自分もと名前を呼ばせようとしてきた。
まぁ、無理だったのだか。
ただ、どうやら来られるのをやめたらしく僕が動くたびに、
レ「動いた!かわいい!」
とか、
レ「なんか言ってる!かわいい!天使!癒される〜」
とか、喋っている。
なので、僕がうっかり出してしまった声にレオハールが「かわいい〜」などと反応するだけですんでいる。
ありがたい。
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