alcoholic series No.2 ~ワイン~

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そして一つ、鼻から溜息のような音を吹くと アルゼンチンに嫁いでいった娘の顔を思い出しながら 皿に並べた指のうち、一枚をつまみあげて 舌の上に乗せるようにして口に入れた また、初めて自分で育てたブドウの 味の悪さを笑いながら 噛み潰すように一枚を口にした そうして彼は指を一枚一枚食べては ワインを味わった いつにもまして造形の深いワインの味わいだった そして最後に残った指の一枚 最も色の濃い、一番外側の皮を噛むと 今年のワインと同じ味がして 噛み応えの十分だったその指を食べてしまうと ワインは残り一杯分というところだった
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