3人が本棚に入れています
本棚に追加
何か口が寂しかったけれど
もう何も残ってはいなかった
そこでワインのグラスを持っていた左の手を見ると
唐突にその指を舐めてみたくなった爺さんは
あたりをきょろきょろと見回して
誰もいない事を確かめて
まるで赤ん坊のように指をしゃぶった
すると、最後の一枚と同じ味がすると思ったその指は
それよりもさらに遠く深い味がした
それより先はないくらいに
遠く深い味がした
それを味わいながら
最後のワインを飲み干すと
爺さんは満足そうに眠った
最初のコメントを投稿しよう!