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 ぱんぱかぱーん。  乙女ゲームに転生したと思ったら日記だった。  え、嘘やん。  三回ぐらい現実を疑ったよ。  けど、紛れもない現実だった。  自分の意思で歩けない俺は、乙女ゲーム世界の手帳、それも悪役令嬢の抹殺ノートに転生していた。  無機物だし、命宿るの?  って、思ってけど、俺いま思考してるしなぁ。  ともかく、事態を発揮した俺は、持ち主である悪役令嬢ノエルちゃん(五歳)に語りかけた。 「抹殺、抹殺♪」 「それは駄目だろぉ!」  るんるん気分で抹殺したい人間の名前を書き綴る少女に突っ込みを入れて、「えっ、ナニコレ気持ち悪い」と放り投げられたのは嫌な思い出だ。  とにかく、そんな感じで俺のセカンドライフは始まった。  でそんな俺は、日記の分際でレベルアップするみたいだ。  毎日、ノエルちゃんが日記を書くとレベルアップ(俺が頑張るんじゃないんかい)する。  日記レベルが上がると、日付や天気、場所などが自動的に筆記されるようになるらしい。  他の文書の模写機能がついたり、他人の日記の内容を記す筆記機能がついたり。地域で起こった事件が分かるという新聞機能がついたり。  レベルカンストした頃には、未来の予言もできるようになった。  そんなことができる暁になった頃には、ノエルちゃんに「本当にただの日記なの?」と言われたっけな。  あっ、そうそう。  レベル上昇に伴って各種ステータスも強化されていったぜ。  物理防御とか魔法防御とかな。運とかも上がった。日記だから、素早さのステータスはなかったけど。  とりあえず、第二の日記人生を送った俺は、秘書いらずの日記として活躍。  ノエルちゃんの私生活をサポートしていった。
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