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第二章 黒船 二
寿村は、その後も幾つかの都市伝説を教えてくれた。
「俺には、恋人が十八人ほどいて……」
「多くないですか?十八股??」
寿村の恋人は、女性三人、男性十五人、合計十八人だという。
「ヘルプで料亭とかに行くでしょう。それで、女将といい感じになったり……ゲイバーのママのマミちゃんのところで、バーテンダーをやったりしているわけさ」
「老若男女でしかも、前も後ろもOKですか」
その恋人の中に、交番勤務の男性がいて、亜利沙の事件を聞いた事があるという。
「競馬で全額やってしまって、公園でウリでもするかと立っていたら、巡回してきた警察官の関口君に説教された」
「職質でもされましたか」
寿村は、ちゃんとした格好をしていれば、それなりに二枚目であった。しかし、怠惰な生活のせいか、堅気には見えない。
「関口君が飯を食わせてくれるというので、自宅まで付いてゆくと、あまりの料理の不味さに、結局、自分で料理してしまった。その後で、俺のほうも食われた」
「……食われたというのは何ですか?」
寿村を連れ帰った関口は、食事の後で、不思議な話を始めた。
関口が言うには、寿村が立っていた公園では、失踪事件が周期的に発生し、現在も見つかっていないという。
「幾人もが、まあ、現在も行方不明だ……」
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