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「ええええ????目の前に八起ちゃん???」
「直哉の弱虫」
体は大きくなったのに、直哉の泣き虫は治っていなかった。こんな人前で泣いたら恥ずかしいだろうと、俺が直哉の頬に手を当てると、カメラが一斉にこっちを向いた。
「亜利沙、隠して」
『OK!』
亜利沙が俺達を隠したのか、周囲から消えたという叫び声が聞こえていた。
世界から隔離されて、ここは二人の世界になっていた。
「八起ちゃん…………」
『三人よ』
亜利沙が二人を訂正し、三人の世界だと主張していた。
「キスしたい」
「キスは、観覧車じゃなかったの?」
ロマンチストな直哉は、観覧車で恋人のキスというものを夢見ていた。しかし、俺が直哉の頭を撫ぜると、直哉は俺を抱き込んで唇を重ねていた。
「こんな、人前でキスしていいの?」
『亜利沙が隠しているから、大丈夫』
メリーゴーランドは次の子供を乗せて周りだし、陽気な音楽を流し始めた。子供の笑い声も響き、親子連れが歩いている。
「八起ちゃん、大好き」
甘いキスを重ねながら、直哉の手が俺の尻を揉んでいた。
「そこは、ダメだよ」
「分かっている。もっと、待つよ…………」
待っても、使う予定はない。
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