第二十ニ章 メリーゴーランドは夢見る 二

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「ええええ????目の前に八起ちゃん???」 「直哉の弱虫」  体は大きくなったのに、直哉の泣き虫は治っていなかった。こんな人前で泣いたら恥ずかしいだろうと、俺が直哉の頬に手を当てると、カメラが一斉にこっちを向いた。 「亜利沙、隠して」 『OK!』  亜利沙が俺達を隠したのか、周囲から消えたという叫び声が聞こえていた。  世界から隔離されて、ここは二人の世界になっていた。 「八起ちゃん…………」 『三人よ』  亜利沙が二人を訂正し、三人の世界だと主張していた。 「キスしたい」 「キスは、観覧車じゃなかったの?」  ロマンチストな直哉は、観覧車で恋人のキスというものを夢見ていた。しかし、俺が直哉の頭を撫ぜると、直哉は俺を抱き込んで唇を重ねていた。 「こんな、人前でキスしていいの?」 『亜利沙が隠しているから、大丈夫』  メリーゴーランドは次の子供を乗せて周りだし、陽気な音楽を流し始めた。子供の笑い声も響き、親子連れが歩いている。 「八起ちゃん、大好き」  甘いキスを重ねながら、直哉の手が俺の尻を揉んでいた。 「そこは、ダメだよ」 「分かっている。もっと、待つよ…………」  待っても、使う予定はない。
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