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でも、直哉の腕の中は落ち着き、安心した気分になってきた。
「亜利沙、ありがとう」
でも、ここは遊園地なので、もっと遊んでおきたい。
『直哉ちゃん、次だよ!』
直哉は、スケジュールを確認すると、俺が逃げない場所である、観覧車を指定していた。
「亜利沙の祖母が迎えに来ている」
「……見ていたよ。メリーゴーランドの阿鼻叫喚の中で…………」
直哉の周りに集まっていた少女たちは、幽霊を見て、号泣しながら親元に散っていったという。
「直哉も、泣いていたでしょう?昔から、幽霊が苦手だからな」
「泣いてないよ…………」
直哉は幽霊ではなく、俺の姿を見失って、泣きそうになったと正直に言った。
「八起ちゃんは、すぐにいなくなる……」
「でも、見つけくれるのでしょう?」
俺も、やっと帰る場所を見つけた。だから、どこに行っても、直哉を見つけて帰ってくる予定だ。
「絶対に見つける」
観覧車は大型で、家族単位で乗れるような大きさであった。だが、直哉は二人を希望し、相乗りを拒んだ。
「観覧車の相乗りってあったのか……」
「かなりの大型ですから」
観覧車の列に並んでいると、亜利沙の手を祖母が握っていた。やっと二人は出会い、迷子にならないように、手を繋いだらしい。
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