第1話 弟がラスボスだった

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第1話 弟がラスボスだった

 それなりに名前のある貴族の名家。  そんな我が家に赤ちゃんがやってきた。  私の弟レイモンドだ。 「おかあさま、わたしもだっこしたいです」  弟を抱えている母にお願いして抱っこさせてもらう。  ふにゃふにゃで温かかった。  ほっぺがぷにぷにしている。  自分がこの子を守ってあげなくては、という気持ちが不思議と湧いてきた。  これで、今日から私は姉になる。  わくわくした気持ちで赤ちゃんと対面した私は、その瞬間にこの世界が乙女ゲームの世界だと気がついた。  前世でやっていた、ファンタジージャンルの乙女ゲーム。  そんな世界に転生してしまったらしい。  この世界には、攻略対象が四人いる。  いずれも、転生者だ。  だが、それは別のファンタジー世界からの転生者。現代日本からではない。  攻略対象者たちは、魔族と人族が争っている世界から転生してきたと、設定資料集に書いてあった。  それがゲームの内容をややこしくさせてしまうのだが、今はおいとく。  イケメン転生者達は協調性のかけらもない攻略対象者達になってしまい、ボスと戦うのも苦労するのだが、それも置いておく。  それよりも重要なのは、  目の前の弟レイモンドも、そんな攻略対象の一人だという事。  すなわち、ファンタジー世界からの転生者だった。  しかもラスボスだった。  私は頭を抱えた。
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