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あるところに、墓守の少年がいました。
墓守の少年は、たくさんの亡骸を丁寧に埋葬していくのが仕事でした。
その世界では、戦争が起きているため、毎日たくさんの人が亡くなります。
だから、仕事は尽きませんでした。
墓守の少年は毎日大忙し。
けれど、大事な祈りを忘れずに、一人一人を弔っていきます。
しかし、そんな墓守の少年を好きになる人はいませんでした。
戦争を仕掛けた国の人も、仕掛けられた国の人も平等に悼む少年を、卑怯者となじります。
墓守の少年は、ずっとずっと一人ぼっちでした。
彼の近くにいるものは、死んだ人だけ。
墓守の少年は、ずっとさびしいまま、死ぬまで仕事をこなしていました。
――そんなに死者が好きなら、卑怯者のお前もそいつらの仲間にしてやるよ。
死ぬまで、殺されるまで、一人ぼっちで。
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