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開拓。
それはまっさらな雪原に足を踏み入れる気持ち良さと不安を内包したものだ。
どうせなら消えないものを残したいと思いながら進んでは、その薄い足跡を横から来た誰かに踏まれて消される。
その繰り返し。
嫌になる。邪魔になるものは全部蹴散らしたいが、「いつかではなく、いま傷にも近いような跡を」などと焦っていたら傷つくのは自分のほうだ。
分かっている。
分かっているが、焦るなというほうが無理な話。時間は有限。人間、いつ死んでもおかしくはないから。
時に世界を嫌いになり、誰かの足跡を追うだけの人生はご免だと呟いて毎日を生きる。
固められたコンクリートの上には痕一つ残せない。だから土の上、茨の道をときに強がりながら歩いて行く。
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