3人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
どうもはじめまして。
急ですが、私は家政婦の仕事をしています。主に料理洗濯などの家事をメインに。
何故家政婦をしているか?
実は私にもわからないのです。
いつの間にか家政婦として雇われていました。
何故分からないのかと聞かれても分からないものは分からないのです。
まぁ、今はその話は一旦置いときましょう。
私の一日の仕事は、朝、掃除機をかける事から始まります。
隅から隅まできちんと掃除機をかけ、埃一つ残しません。
それが私の誇りでもあります。
そして、主様の起床です。
主様は朝が弱いので、少し乱暴になりますが、布団をはいで起こします。
主様はいつも起きると、決まって私の顔を見て一筋涙を溢しますが、何故だか分からないままその涙を指で拭ってあげます。
それも主様に頼まれた私の仕事に含まれているのです。
それが終わると主様はお風呂に入ります。私は主様の着替えとタオルをお出しし、朝食をお作りします。
バターを塗ったトーストを焼き、スクランブルエッグを作ります。今日は時間があるのでベーコンとウインナーをプラスで焼きます。
主様は洋食がお好きなので、朝食は大体洋食にします。
丁度パンが焼き上がったところで、主様は髪に水を滴らせながらお風呂から出てきます。
私は、作った物を皿に盛り付け、テーブルに座った主様の前へお出しします。
それが終わると、私は洗面台の棚からドライヤーを取り出し、朝食を食べている主様の頭を乾かします。
主様は髪をあまり拭かないらしく、乾かす時間が無いという事なので、私が乾かして差し上げているのです。
櫛を使いながら、主様の夜空の様な黒髪を丁寧に乾かしていきます。
主様の身支度が終わると、主様はお仕事へと向かいます。
主様はいつも家から出る時に、私に行ってらっしゃいのギューを求めます。
家政婦の仕事では無いのですが…と思いながらも、主様のお願いなので渋々引き受けます。
そして主様が仕事へ向かうと、洗濯物を干します。
いつもこの時間に洗濯が終わる様に設定されているので家の洗濯機はとても優秀です。
薔薇のような匂いにうっとりとながら洗濯物を干し終わると、次はベランダのお花達の水やりです。
主様は何故かこのお花を大事にしてらっしゃいます。
大事なお方との思い出の花なんだとか。
…少し、嫉妬しちゃいますね。
水やりが終わると、昼食を作ります。
昼食は、主様が休みの時以外は自分の好きな物を作ります。
朝食を食べていないのでお腹が空くので、ガッツリした物を食べます。
今日は、生姜焼きを作りました。
生姜焼きを食べると、口にお肉の脂と生姜の風味が広がってとても美味しいです。
こう見えて、料理の腕にはとても自信があるのです。
食べ終わると、朝食分の食器をいっぺんに洗ってしまいます。
食器洗いは少し嫌いです。手が冷えますからね。
それが終わると、主様が帰ってくるまで自分の自由時間となります。
私は、掃除が好きなので大体は掃除をします。
棚の上の埃を綺麗に吐き、テレビテーブルの下などを腰を屈めながら拭きます。
こういう所は、掃除機を使うとコードを巻き込んでしまうので、モップや雑巾で綺麗に拭いていきます。
私の掃除はこれで……終わりではありません。
掃除の中でも私が一番丁寧に掃除しているのが、棚の上の写真盾磨きです。
この写真は、主様が大事な写真だと言っていました。
写真盾の中には、主様と私のツーショットが多く飾ってあります。
私にはいつ撮ったのか分かりませんが、主様は私が家政婦になった時に、いつ撮ったのか、どこで撮ったのかを目に涙を溜めながら語ってくれました。
そんなに私とのツーショットが大事なんて、写真盾を見ていると嬉しくなります。
全部の掃除が終わると、帰りに買い出しをした主様がご帰宅なさいます。
夕食は、主様が買ってきた食材で主様のリクエストの夕食を作ります。
今日は、レバーとニラが買い物袋の中に入っていたので、リクエストはレバニラですね。
私が料理を作っている間に、主様は着替えを済ませてしまいます。
お風呂は朝入るから良いんだとか。夜に入った方が疲れが取れると言っているんですがね…
あ、主様が着替え終わってしまいました。早く作らなければ。
夕食を盛り付け、主様と私の分をテーブルに置くき、二人で食べはじめます。
これも、家政婦の仕事に入っているのだとか。本当でしょうか…
主様と一緒にご馳走様をし、私はお風呂に入ります。
一日の疲れを取ってくれるお風呂は気持ちがいいですね。
私がお風呂に入っている間、主様は皿洗いをしてくれます。
やらなくても良いと言っているんですが、主様は分かったと言いつつ、私がお風呂から出るともう汚れた皿はありません。
ほら、今日も汚れた皿がないです。
それが終わると、就寝の時間です。
主様は仕事で疲れているので、大体がこの時間、10時にはベッドに入ります。
主様は、決まって寝る前にこう言います。
「今日も掃除ご苦労様。…っごめんな、守ってやれなくて。家政婦なんて嘘ついて。辛いよな。俺も辛いよ。…って、記憶喪失だからこんな事言っても意味ないよな。ごめん。早く記憶思い出せよ。…俺の奥さん」
主様はそう言い、私を抱きしめながら就寝なさいます。
言っている意味はよく分かりませんが、とても大事なお話なのは分かります。
また、明日も綺麗に掃除しますね。主様。
最初のコメントを投稿しよう!