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「きみ、何を、、」
ちょうど電車がホームに進入してくるところだった。
トモコは思いきり、野瀬の胸に飛び込んだ。
初めて関係を持ったあの夜のように。
いや、あの時よりさらに強く、このままどこかに消え去ってしまっても良いと思えるくらいに。
「やめろぉぉぉーっ!」
二人の体はホームを超えて線路の中へ吸い込まれていった。
迫り来る電車のヘッドライトで照らされた二人は、まるで舞台上でクライマックスを迎えた主演俳優と女優のようだった。
ゆっくりと過ぎる時間の中、トモコは野瀬に話しかけた。
「ねえ、本当はどう思ってるの?私と過ごせなかった二年間。苦しかったでしょ?安心して、もう私達死ぬまで一緒だからね。」
電車が大きな警笛を鳴らしながら駅に流れ込んだ。
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