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「ちょっと待ってくれ。何を見たか知らないが、きみの写真があったのなら、それは削除し忘れていただけだ。特別な意味はない。」
「聞いて下さい、部長。はじめ、私の写真が保存されているのを見た時は、本当に怖くて。持ち主をストーカーか何かかと勘違いしてしまったんです。」
「バカな。」
「でも拾った携帯電話に自分の写真が大量に保存されていたら、そう思っちゃいますよね。それで待ち伏せしてやろうと思ったわけです。」
「まぁ、君の気持ちもわからないでもない。偶然だったとは言え、怖い思いをさせてしまったのは悪かった。しかし、結果的にはストーカーではなかったわけだ。もういいだろ。」
「いえ、あともう一つ確認したいことが。」
「は?まだ何かあるのか?」
野瀬は明らかに苛立っていた。
「部長。待ち受け画面を私の写真にしてますよね?」
「何をわけのわからない事を言っている。そんな事はあり得ない。ほら、見てみろ!」
野瀬が見せつけた待ち受け画面には、彼の妻と子供の写真が設定されていた。
その写真を見た瞬間、トモコの中に真っ黒い何かが宿った。
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