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ーーーーー東華フェスティバル当日。
数日前に突然、兄弟との暮らしが始まったがそのおかげでストーカーからの反応はなく無事に過ごせていた。
結局、薫の止めが入ったが楓の部屋を一緒に使わせてもらうことになった。連日練習もあり、すれ違いの生活ではあったが楓は夜一緒に寝てくれたおかげで気持ちも楽だった。
陽葵はここまで頑張ってきた楓の晴れ舞台にとてもワクワクしていた。
朝から準備をするといって誰よりも早く起きて準備をするとギターを背負う。
「楓くん、今まで通りやれば大丈夫だから楓くんらしくだよ?」
陽葵は軽いキスを頬にする。
「うんっ。僕、楽しんでくる。」
「その調子!いってらっしゃい」
「楓早いなぁ・・・はぁあ」
後ろから寝起きの薫が現れる。
「行ってきます!」
楓は走って行ってしまった。
送ってあげればよかったと後悔するも準備もままならない自分をみて、いかなくてよかったと思った。若菜との待ち合わせ時間まで時間があったためメイクをして気合を入れる。楓くんの晴れ舞台なのに自分の気合が入ってしまう。
私も緊張してるんだろうな・・・
楓くんの緊張、伝染したね。
「陽葵はご飯食べたのか?」
この人全く違和感なく名前を呼んでくる。楓くんがいる時は呼ばないようにしているみたいだけど・・・
「まだですよ。お兄さんがなんでも良ければ私が
作りましょうか? 疲れていそうですし、お家にお邪魔させてもらってるお礼です。」
「・・・お、いいのか。じゃ、お願いしようかな。
そのお兄さんっていうのちょっとやめてくれないか。俺のことも名前で呼んでほしい。」
「え・・・また楓くんに問い詰められますよ。」
「別になんとでも言えるし」
「はぁ・・・じゃ薫さんでいいですね!
冷蔵庫・・・」
薫さんっていうのもなかなか新鮮で
そそられるな・・・
薫は作業をする陽葵をじっと見つめる。
「ちょっと、見過ぎですって。顔洗って着替えてきてください!もう!」
「わかったよ。」
薫が洗面所に行ったのがわかると早速料理に取り掛かるが簡単に朝食を作る。
味噌汁、卵焼き、ご飯
おかずが足りない気がするけどいいよね。
形の綺麗な卵焼きがテーブルに運ばれると驚く薫。
「やっぱりすごいな。」
「大したもの作ってないですよ?驚いてないで食べてください。」
パクッと口に入れると美味しいといって、食の細い薫が完食してくれた。
「よかった・・・口に合わなかったらと少しドキッとしてました。」
「そんなことないよ。ありがとう。」
本当に薫さんもイケメンだよね。
ジーンズに白シャツという爽やかスタイル。
「な、俺も一緒に楓のステージ見に行ってもいいかな。」
「私たちと?!薫さんと行くのはいいけど・・・私友達連れだし・・・お友達とかは?」
「いない・・・」
「えっと・・・わかりました。友達にも聞いてダメってなったら1人でみてくださいね!出店とか私たち回ろうとしてるので。」
「俺が行ったら迷惑かな・・・」
わざとなのか少し落ち込んだ表情をしてくる。楓くんとそういうとこ似てるよ・・・
結局、渋々とりあえず待ち合わせ場所である東華大学の正門までいくことになった。
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