大事な選択

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 大きな看板が飾られた会場。あともう少しでフェスティバルのメインイベントが開始する。客入りもほぼ満席で、私たちは関係者席に案内されて待つことになった。楓たちの番はちょうど中間らしい。 「始まる前にお手洗い行ってくるね?」 「うん、気をつけてねっ」 陽葵は臨時で設置されたトイレに向かうと楽器を持った人たちが並んでいたため、出演者の列で楓はいないかと探すが見当たらなかった。諦めてトイレにいって出てくると、さっきとは違う騒がしさに気づく。不思議に思って見ていると楓らしき男子の周りに5人以上の女子が群がって目の前を歩いているところだった。 「楓くん!今日頑張ってね」 「めっちゃ応援してる。ほんとカッコいい。」 「一回でいいからサイン頂戴!」 あ、やっぱり楓くんだ! 「楓くん??」 目の前で手を伸ばし、声をかけるが騒がしさに声が消されていくのがわかった。楓くん、本番前で緊張してると思うし、聞こえないよね。少し落ち込んでいると 「あ!!楓〜まってよ。 陽葵さんだ!こんにちは」 すぐ後ろから来た洋介がマイクを運んでいた。 「洋介くん、頑張って!そういえば栞ちゃんもきてるんでしょ?」 「はい!!どっかにいると思います。てか、楓のやつ陽葵さんに気付かなかったんですか??」 「目の前通って声かけたけど全然!人気なんだね楓くん」 「朝からこんなで俺も驚いてて・・・落ち込まないでくださいよ??あいつは陽葵さん一筋なんで。」 「うん、ありがとう。大丈夫だよ!それじゃ、みてるからね〜」 大丈夫のつもりでも実際に見ると 嫉妬するよね・・・ 人気があることはいいことなのに すごくもやもやして辛い。 大人気ないね・・あぁ自分が嫌になる。 去っていく2人を見届けると席に戻る。
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