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「それでは次はお待ちかね、朝倉楓くん、神崎洋介くんのペアになります。今回は2人の得意分野で勝負をするとのことです!楽しみですね〜ではどうぞ。」
大きな拍手で迎えられる2人。
陽葵たちも拍手をする。
ドキ
ドキ
「きゃー洋介〜!」
突然声が聞こえ、ふと横の方を見ると近い位置に栞が座っていた。
それに気づく洋介くんもステージ上でガッツポーズをする。
あぁ可愛いなこの2人。
楓くんは……ふふ
ステージ上で見た楓は洋介とオリジナルTシャツを着ていて笑顔ではあるが少し硬くて動きがぎこちない感じが面白くなった。
「楓くーーーん!きゃーー!」
ファンクラブでもあるの?くらいに揃った声援に驚く陽葵。
「すごいな楓は笑」
「そうですね……」
楓のファンたちの声援に薫も驚いていた。
2人がマイクを持ち始めると
周りは一斉に静かになる。
「こんにちは〜。初めまして、神崎洋介と」
「朝倉楓です。」
「今回は2人で得意分野を生かしたステージにしようということで3曲披露したいと思います。」
「1曲目は僕がYUIさんのCHE. R. RYを歌います。みなさん、楽しんでください!!」
手のひらで震えた それが小さな勇気に
なっていたんだ
〜〜🎵
楓くんの部屋はリズミカルなアコースティックギターでの演奏に合わせ唄う歌はとても周囲を釘付けにするものだった。歌い終わる頃にはみんなが真剣に聞いているような雰囲気で飲み込まれているようだった。
「よく、女性アーティストの歌えるよね…
素敵」
周りからの声もちらほら聞こえてくる。
「2曲目は神崎くんの演奏になります。千本桜。」
〜〜🎵
洋介のアレンジのきいた演奏になっていて
かなりの難易度であったが全くミスもなく繊細なタッチで魅了した。
曲が終わると、グランドピアノの椅子に洋介と並んで座る楓。
「とうとう最後の曲ですが・・・
この中でも僕達が1番練習したものになります。親や友達、恋人これからの出会う人など……大切な人と過ごす時間をずっと大切にしたいと思いこの曲を選びました。」
そうみんなの前で曲紹介をする楓はふと陽葵に視線を合わせる。
楓くん私の事みてる・・・
2人の間にはかなりの距離があるのに
近くで目があっているような感覚に陥る
「それでは聞いてください。official髭男dismで115万 キロのフィルムです。」
洋介は楓の曲紹介が終わると開始の言葉を発する。
洋介が楓に目を合わせ合図をすると楓が弾き始め途中から洋介が埋めるよう連弾を始める。この日のために洋介に教えてもらいながら特訓したピアノを披露したのだ。設置されているマイクにそっと口を近づけて歌い始める。
〜〜♫
楓の透き通るような声が聞いている人たちの心に印象つけていく。一つ一つの言葉が伝わるように最後まで歌いきる。
私と楓くんの出会いって本当不思議だったよね。
普通なら放っておくようなことに私も首突っ込んで おせっかいして・・・ふふっ
あの時の楓くんも素直についてきちゃうし笑っちゃう。
それから、いつも辛い時に楓くんがそばにいて支えてくれてて、笑顔が似合う彼が大好きで
いつからかいないとダメな存在になって・・・楓くんにとっても私が昔も今も大切な存在であってほしいなぁ。はぁ・・・ 楓くんが優しく私に触れる手や温かい、いい匂いのする身体も全部愛おしすぎて涙が出そう。
歌い終えるまで昔を振り返っていた陽葵は自然と涙をこぼしていた。
ーーーツー
流れ出る涙は頬を通って洋服に小さいシミをつくる。
「陽葵…泣いてるのか?」
薫は横で涙する陽葵に驚き声をかけるがまるで聞こえていないようだ。楓を一点に見つめる綺麗な横顔に薫は見惚れてしまう。
俺はこの綺麗な彼女が
これからも幸せであってほしい・・・
できるなら俺を好きになってほしいとは今でも思う。でも楓のことを好きな彼女だからここまで綺麗なんだと嫌でも実感させられた。
ーーーーーーーパチパチ
ヒューヒュー
さいこう!!!
会場に大きく拍手が響く。今までで一番の反応だった。楓と洋介はふたり目を合わせるとハイタッチする。
「「ありがとうございました!」」
同時の挨拶も揃っていて、
心配していた陽葵もどっと安心にかわった。
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