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近くの喫茶店に案内され楓の横に洋介、前に洋介の両親が座り話をしていた。母親がコーヒーを飲みながら聞いてくる。
「楓くんっていつから歌うようになったの?」
「いつからかは覚えてないですが、小さい頃から歌はよく歌っていてギターは高校生くらいに興味があってやり始めたんです。」
「へぇ、全部独学でしょ?」
「はい。お金もないですし・・・うちの家は。
お父さんの見様見真似でやっていたら、できるようになりました。」
「凄いわよ…ね、お父さん」
「あぁ、楓くん突然呼び出して驚いただろうがあの場では話しにくくて、申し訳ないんだが早速本題に入るね。」
「は、はい…」
急に改まった雰囲気に何を言われるのか少し緊張した。
「私たちの事務所から君をデビューさせたいんだ。もちろんお金に関しても希望を出来るだけ叶えたいし、活動内容も相談して決めていきたい。今まで誘われることはあっただろうが、少し考えてほしい。」
名刺を出され確認すると今までで誘われた中で1番有名な事務所で洋介の顔見ると顔を逸らし気まずそうにしている。
「あ……父親ここの社長してんだ。」
「洋介……君って何者なの?」
「……それには触れないでくれ。
俺は才能がある楓にデビュー欲しいってすごく思うけど、それなりにリスクも大きいとも思う。親父は前に動画で見た時からずっと考えてたらしいけど、直接話をしたいって言ってたんだ。」
「すまないね…悩ませてしまうかな。私は君がさっきのステージで魅せたものが全てを語ってると思うんだ。私たちは君を全力でサポートするつもりだ。」
僕の夢ってなんだろうか。
これから何をしたい?何を生きがいにしたいの?
さっきのステージで僕がどれだけ音楽が好きなのかは実感したけど
僕でもやっていけるのか自信はない
ただ洋介のお父さんのようなすごい人たちに
こうやって評価されていることには意味がある気がする・・・
「僕にでも出来るでしょうか?」
何件も断ってきていた楓の言葉に洋介たちは驚き目を見開いた。
「もちろんだよ。」
と洋介父である社長ははっきりと答える。
その答えに楓の中で決心がつき笑顔で返事をする。
「よろしくお願いします。」
ーーーーーーーこれがきっかけでsugarはデビューを果たす。楓の要望で初めは顔を出さないという条件でデビューをする話をしていった。
これで陽葵さんや兄さんたちにも
認めてもらうための一歩が踏み込めたかな。
僕なりに全力でやってみよう。
ーーーーーーー陽葵さん、報告したいことがあるから!楽しみにしててね?
楓はまだ続いていた胸の高鳴りの中、メッセージを送った。もうすぐ直接言えることが嬉しくてスマホを握り締めてすっかり暗くなった帰り道を急ぐ。
この時まではこんなことが起きるとは誰も予想はしていなかった。
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