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ーーーーブーブー
「もしもし?は??なんですか急に陽葵??」
いきなり電話がきたと思ったら切られた・・・
陽葵に何かあったの??
今外にいたからすぐに行けるけど・・・
若菜は出かけていたときに薫からの突然の連絡に驚いたが陽葵に何かあったということはわかり、急いで向かおうとした。すると駅から急いで出てくる楓をみつけかけよる。
「楓くーーーん!」
「えっと・・・」
「あ、ごめんなさい。陽葵の友達で坂井若菜といいまうす。いつも話は聞いてて・・・」
「あ!!若菜さんっですか!
僕もよく聞いてますよ?今日もステージ見てくださってありがとうございます。」
「うん!すごくよかった!!というか、楓くん陽葵といたんじゃないの??」
「まだ、会えてなくって……しかも携帯まで壊れちゃって誰とも連絡取れないんです。」
「マジか……ちょっと陽葵なんかあったみたいってさっき先生から連絡あったの!!じゃ一緒に行こう!!」
陽葵さんに?
どうしたの……僕、怖いよ
陽葵さんに何かあったら僕……
若菜は楓を連れて急いで病院に行くと、待合室で項垂れる薫がいた。その姿に想像したくないことが起きてるんでは無いかと不安が強まる。
すると物音に気づいたのか薫は顔を上げて真っ先に楓の肩を掴んできた。
「楓……お前どうして出ないんだよ!!
何度も連絡したんだぞ」
「兄さんっ!
ごめん……僕の携帯割れて全然使えなくて……。
陽葵さんどうしたの?何かあったの?」
「……陽葵が襲われた」
「えっ?陽葵さんが襲われた?誰に?」
「ストーカーだよ…多分陽葵を追っていたやつだと思う。」
「ストーカーに襲われたって……なんで?
家に戻るって……陽葵さん今どこにいるの?」
「襲われたっていうのは犯されたんだよ。
服もボロボロになって、知らない男にだよ!!
見つけたときには陽葵は大丈夫だって笑顔で泣いてた。壊されたんだ全部!!
すまない……楓!
俺がもっと早く助けに行ったら、こんなことには……」
静かな待合室に崩れ落ちる兄さんの声が響く
陽葵さんが犯された?
ストーカーの男?
兄さんは一緒にいなかったってこと?
どうして?
楓の頭の中は現状を理解出来ず
泣き叫ぶ薫の姿に驚き感情よりも疑問がたくさん湧いてきた。次第に自分のことを優先して、陽葵のそばにいれなくて守れなかった怒りがふつふつと込み上げてくる。
「兄さんやめてよ……僕がいけないんだよ。
自分のことしか考えてなかったから。」
「楓……」
ーーーガラガラ
診察室のドアが開くと現れたのは警察官に付き添われた陽葵の姿だった。
「陽葵!!」
咄嗟に動いて、近寄ったのは若菜。2人の話を聞いて若菜は陽葵が心配になった。楓はそっと手を伸ばすがかなり衰弱している陽葵に声をかけることができずに戸惑ってしまった。
「あ、若菜…きてくれたの?」
「うん、朝倉先生に呼ばれてきてたんだ。しばらく、私のところに来たらいいよ。」
「ありがとう…疲れちゃった。」
無理やり笑顔を見せる陽葵に若菜は泣きたくなった。
「ちょっと、笑わないでいいのよ。・・・泣いていいの。」
それでも笑って、ごまかそうとする陽葵に若菜は心から心配になった。診察では身体面では問題ないと言われたが心配なのは今後の精神的な面では影響は強いとの話をされた。
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