トラウマ

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 ーーーーーー陽葵は入院して2ヶ月。  あの事件から2ヶ月が経過して今年も12が月も中盤を迎えた。あれから、男性が近くだけで過呼吸になっていた発作が少しづつ落ち着いて経過は順調ではあった。ただ、あまりに距離が近づいたりすることで異常に反応することやフラッシュバックも続いていた。そのことで陽葵は発作で周りに迷惑をかけてしまうことを考え仕事を退職し、治療を優先にすることにした。  薬を飲み始め、カウンセリングや治療の一貫で同じような被害者グループで話をすることもあって、色々な人たちの気持ちを聞くと少し楽になる気がしてい少しずつ受け入れはじめた。 「ごめんな。俺のせいだから」  入院した時、一言言った薫さんとはあれ以来会ってない…。 あの時必死に止めてくれてたけど家に戻らせてしまったことをきっと後悔してるんだろうな。私が早く謝らなきゃ。私もあの時のことをやっと少し振り返られるようになってきたから…… 「陽葵さん、退院したら僕と またあの喫茶店に行こ?」 「何か好きな物買ってくるよ。 僕、オムライスつくるね!」 あの日から、私には触れないでくれて 優しく話しかけてくれる。 楓くんも気を使ってるんだってこと すごく伝わってるんだ。 大学だって忙しいのに毎日来てくれて嬉しかった。 他の人とは違って症状は少し軽いけれど触れようとすると拒否したくないのに身体が反応して震えるの。 私も楓くんとまた楽しいこと沢山したいのに 悔しくて…… 楓くんでいっぱいだったあの頃に戻りたい 情けなくて毎日泣いた。 申し訳なくて、忘れたい、忘れたいと焦る。 毎日同じ繰り返しの入院生活を過ごしていると 医師から症状も落ち着いてきているからと退院の許可が出た。また発作が強くでる場合は入院する様にとのことであった。医師から見ても落ち着いているんだと私自身も嬉しかった。  
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