トラウマ

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ーーー大学。 講義後、教室で洋介と話していた楓。フェスティバル以降、楓は人気がさらに出てファンクラブもできていた。ただ、洋介の両親からのスカウトを受けてからずっと様子がおかしいことを洋介は心配していた。 「楓…何あったんだ? あれからずっと考え事してるような感じだし 親父たちへ言いずらかったら俺が代わりに言っておくけど…」 「あ、そうじゃないんだ。 スカウトしてもらえて自信ついたし、洋介のお父さんたちが認めてくれるから一緒にやりたいって思ったよ……ありがとう。」 「じゃ、落ち込んでる理由は?」 「僕落ち込んでた?」 楓は迷惑かけないようにとずっと気を張ったつもりだった。 「うん、明らかに違うな。 デビューに向けて不安なのかなとは思ってたけど 一向に楓の様子変わらないから。」 「ごめんね……洋介にまで心配かけて。 最近ね、どうしたらいいのか分からなくって」 これを言うことで陽葵さんが傷つくことがあったら嫌だと思ってた。 「事情があるのか?俺で良ければ聞くけど……」 洋介は楓から話してくれるのをしばらく待つと楓は少しずつ話し出した。 「陽葵さんが……」 僕は洋介に事情を話した。 デビューもしたいけれど 今は陽葵さんが心配でそばにいたいとも。 「それでそんなに悩んでたんだな……陽葵さんも 悩んでるんだろうな。 落ち着いて聞いてほしいんだけど 親がね、楓が陽葵さんと交際してること良く思ってない… デビューする上で身の回りはきちんと整理した方がいいって。」 「えっ……僕に陽葵さんと別れろってこと? 僕には陽葵さんが全てで…… 一緒にいないことが考えられない。」 「俺もそれは知ってるし理解してる。 だから親にも楓は望んでないって言ったけど、世の中は甘くないからって楓に俺からも言って欲しいって言われたんだ。」 「……僕、それならデビューなんてしないよ?」 「……楓。俺思うんだ絶対楓は成功するし、才能があるんだからやるべきだと思う。それが楓の好きなことでもあるんだったら。 楓は誰に1番聞かせたいの? きっとどんなことでも陽葵さんは応援してくれるよ。 そのモヤモヤをさ2人で話し合わないと」 正直正論だった洋介の言葉に 僕はなんて返したらいいのか戸惑った。 きっと僕は陽葵さんに拒絶されるのが怖いんだ。 「僕…陽葵さんに近づくだけでもやっとで 触れたくて1歩でも踏み出すと拒まれて…… 何も支えられないんだ。」 「触れるだけが陽葵さんを支えることなのか? それはきっと楓の自己満足だろ?それじゃ何も変わらないよ。」 そうだよね…僕は 陽葵さんに触れたくて触れたくて あの温もりをまた感じたくて 自分の満足のために求めてたのかな 陽葵さんは?いま触れたら壊れちゃうよね。 僕にできることはきっとある… 「ありがとう…洋介。 でも僕の未来のためだとしても別れることは考えられないよ。こうやって自分をだせるようになったのも陽葵さんがいてくれたから。」 「そうだよな。」  楓は事件があったことでデビューのことも陽葵に告げられないままでいた。楓はきっと別れるなんてことを言うことはないだろうと洋介は思っていた。あとは社長たちがどんな風に考えているのか洋介は心配であった。  ーーーーー少しずつデビューに向けて準備が進められていった。ボイストレーニングやスタジオ練習や収録リハなど毎日忙しくなる楓。
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