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「今週の1位はsugarの新曲です!」
音楽番組のランキングをみて事務所スタッフは歓声を上げる。
「楓くん、君って子はすごいよ!」社長も満面の笑みで話しかけていた。
楓もあれから無事にsugarとしてデビューを果たし、デビュー曲でトップ10に入り人気をどんどんあげていた。顔を出さず声だけで新曲を出すたびに売れ出す売れっ子ぶりを見せていた。あの時のことも忙しすぎて忘れるくらいになっていた。こうやって陽葵さんのことを忘れられたら楽になれるのかな。
「おい、楓?そんなに頑張って大丈夫か?」
レコーディングしていると洋介がときどき遊びにきて茶化していたが最近は心配されることが多かった。洋介には陽葵との経緯を話していたこともあったがいつも無理しすぎるなと言われていた。
家に帰っても兄さんがいて、まともに話すらしていない。学校の勉強もして、仕事をしていた方が思い出さなくて楽なんだ。いつまでこんな生活がつづくんだろう。
僕が好きだった音楽は自信をもって
しっかりできてるのかな。
プロとして中途半端なことはできないのに・・・
一番に聞いて欲しかった人がもういない僕には
ただ歌うだけのロボットみたいだ
1人残る練習室で
ギターを弾きながら自然と奏でるメロディに
涙が溢れてきた。
「僕は疲れたよ・・・」
ーーーーーーーsugarデビューから一年で突然の活動停止。
新聞に書かれた大きな見出し、世間を騒がせる。
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