2人の道

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  ーーー楓はギターを持ち、必死に走り出した。 自然と手が動いて 思い出す言葉やメロディを楽譜に綴られていく 時間を忘れるほど集中して作曲作業に取り掛かった 「もしもし、洋介今時間ある?」 洋介は突然の呼び出しに驚いたが疲労困憊だったあの楓がひたすらギターを弾いて歌っている姿に期待を膨らませた。話しかけることも出来ないくらい集中している楓はすごく楽しそうにしていて驚いた。しばらくしていると動きが止まり話しかけてきた。 「洋介来てくれたんだ…ごめんね。 僕に力を貸して?」 「いきなり呼んだと思ったら・・・どうしたんだよ。」 「これにピアノを乗せて欲しい…」 渡された楽譜を見て洋介はさらに驚いた。 これはsugarにとっても楓にとっても すごいものになりそうだと予感した。 「楓……これって……。 俺も全力でやってやるぜ!」 その後は2人で夢中になりながら作曲をしていく。 夜中までかかったが約1日で出来上がった。 「楓……うぅぅ!!疲れたな! ちょっと休んだら1回歌ってくれないか?」 「ちょっと気合い入れすぎたかな?……あはは」 2人でその場で倒れるように横になる。何やってんだろうと笑えてくるけれど、この曲が完成することがとても嬉しかった。 あぁ……やっと自分の思いを歌に乗せられる。 休憩すると楓は洋介のピアノの乗せて歌い始めた。 洋介はピアノを弾きながら完成された歌をじっくりと聞いた。 「おい、楓!!1番いいぞ!何があったんだ?」 「ほんと?良かった……僕ってほんと子供だよね。直そうって思ってもいつもダメなんだ…。勝手に勘違いして傷つけて、僕はこの曲でやり直したい。1からsugarとして楓として陽葵さんと向き合わないとって。」 「そうだったんだな……。楓が別れたって聞いてから仕事も勉強も我武者羅にやってて、いつか壊れるって思ってたけどね。 やっぱり、楓には陽葵さんがいなきゃダメだってわかったんだな。」 「うん……陽葵さんが手紙をくれたんだ。あの時のことも兄さんのこともさ……陽葵さんが教えてくれた。僕って恵まれてるね、洋介にも助けてもらったし」 「ついでみたいな言い方やめろ笑」 ーーー2人は笑いあった。きっとこのかけがえのない時間がこの先の未来を明るくしているようだった。
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