2人の道

13/14

143人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
視界に委ねられる楓はマイクをとる。 「初めまして、sugarといいます。」 きゃーーーー!!この声本物!! 「……知ってくださって、ありがとうございます。 そしてですね、僕は朝倉楓といいます。 1年くらい前にこの場所で音楽学科の学生として歌わせてもらったことがあります。 あの時がきっかけで歌手の道へ進むことになり感謝しています。 そんな僕を導いてくれたこの時間に感謝の気持ちを込めて歌います。是非聞いてくださいね。」 楓はギターを片手に2曲歌った。 どれもsugarとして歌っていたヒット曲である。 「ちょっと陽葵知らなかったのよね。」 「全然だよ……私だってもう訳分からなくなってるのに。楓くんがsugarだったなんて…」 私ってもう助けられてばっか…… sugarにも楓くんにも 歌い終わるとマイクを持ち話し始める楓。 「どうでしたか? ここが初めてのお知らせになるのですが しばらく僕はsugarとしての活動を停止していました。 今後の活動も顔をずっと出すつもりもなかったのですがあるきっかけがありまして顔を隠す必要はないと 決心しました。 そして、今回のコンサートからまた活動を再開することになりました。」 ーーーパチパチパチ 大きな拍手が送られる。 「最後になってしまいますが また歌を続けたいと思わせてくれるような…… そんなきっかけになった特別な一曲を皆さんにお届けして終わりたいと思います。 この曲は僕がこの人生で初めて恋をして、心から大切にしたいと思った人に向けた歌です。 ここにいる方々も大切な人がいると思います。それぞれがこの時を後悔しないで大切にしてもらいたいなぁと思ってます。是非、大切な人を、思い浮かべて聞いて欲しいです。 メープルシュガーです。」 拍手が聞こえる中で音楽がなる。 気づくとピアノの席に座るのは洋介だった。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

143人が本棚に入れています
本棚に追加