2人の道

14/14
143人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
ーーーー♫ メープルシュガー/sugar ギターを背負い1人の世界を生きようと 笑顔も忘れて ため息を着いていた日々 失うのが怖くて暗い苦い世界に 閉じこもっていた僕の前に 現れたのは甘い香りの君だった 僕を変える魔法をかけて シンデレラみたいに僕を眩しい世界に 連れていってみせた 知らない世界に飛び込む僕は 砂糖のように溶け込んでいく 甘い二人の時間が僕には 心地よくて、太陽のようにあたたかい 溶け込んで飲み込まれていく2人 ある日突然 笑顔を切り捨てられた君 絡めあっていたはずなのに すれ違う君と僕 僕は君を失ってから分かる どれだけ君が好きだったのか どれだけ君のせいにしても 全て信じないで逃げた僕 心に染み渡るようなシロップが君だとしたら 僕はもう浸されて どんなに離れていても絡み合う僕らは 離れられないんだ 2人で歩いた道 全ての景色が 何もかも忘れられない甘い記憶 君がいない世界が考えられない 今でも隣で笑う顔が忘れられない 会いたい もっと素敵になって 僕はもう一度君に溶かされたい 君の前で飾らない僕で もう一度好きになりたい 君のためならどんなに辛いことでも 頑張れる どうかこんな僕でいいなら 受け止めてくれないかな 今度こそ守るから ギターの音色が消えると 会場は大きな拍手と歓声で響いた。 楓くん……こんなことってあるの 私どうしたらいいの 一つ一つの言葉が心にすっと入ってくる度に 涙が出ちゃうの 両目から溢れ出す涙が止まらない。 薫はそっとハンカチを渡すが 陽葵は拭くことも忘れて握りしめていた。 「皆さん聞いてくださってありがとうございます。 この曲は僕自身のオリジナル曲です。 僕にはずっと大切にしたい人がいました。 だけれどあることがきっかけで離れてしまい 僕はすごく後悔してます。 後になってあの時こうしていればと 過去の自分に囚われて 全てことが嫌になってしまったんです。 後悔しても時は戻らなくて 自分ができることを今やっていきたいと思うようになりました。 きっとこの気持ちは僕が伝えたい人には伝わってると願ってます。 是非またこの曲が 皆さんの手に届く時にはもっとたくさんの人に聞いて貰えたらいいなぁと思ってます。 皆さんの貴重な時間をありがとうございました!sugarでした。」 大きな拍手と共にステージを退場していく楓。 後ろ姿は一年前の面影を少しだけあるが 1人の歌手として印象強く残していた。 「社長…僕のわがままを聞いてくださって、ありがとうございます。」 「いいよ。素晴らしいよ楓くん」 拍手で迎えてくれた社長たち。 僕の気持ちを伝えられる場ができて嬉しかった。 僕は気付いてたよ。 君がずっと僕を見つめてたことも 歌を聴きながら涙も流してくれたことも
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!