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暗い君
ーーーーーピーピーピー
1LDKの部屋に響く目覚まし時計の音。
更に重なる寝坊予防の目覚まし時計。
なり始めて、少しすると身体を伸ばして起きる出勤日の日課だ。
「ゔーーっ」
ベッドの上で背伸びをすると気が乗らないといっているかのように重い身体を起き上がらせ、洗面台へ向かう。
「……」
隣には手を枕代わりにして熟睡している男がいる。
そんな見慣れた姿には反応すらせず、そっと布団からでる。
いつもの習慣で歯磨きをし始めると洗面台の鏡にまだ寝ぼけている自分がうつる。Tシャツとショートパンツ、5月になったが少し肌寒い時用にロングのカーディガンを羽織っている。この楽な格好が結構気に入っている。
仕事日はナチュラルメイクを簡単に行い、寝癖がついているセミロングの茶色い髪の毛にオイルをつけて整える。
「よし、まだだるいけど目が覚めてきたかな。
うーんっと!」
軽いストレッチをし、気合いを入れて
朝の短い時間に弁当を2人分つくる。
ご飯と納豆という定番朝食を食べると
まだ目が覚めない男のために
作った弁当を包みテーブルの上に置く
佐藤陽葵はベージュパンツのセットアップに身を包み家を出る。
職場はマンションから車で15分位のところにある
東華大学附属病院である。かなり大きな規模で病院を始め同様のグループ施設等も近くにあり、この場所のみで高齢者から新生児までトータル的な医療を提供できる施設となっている。
陽葵はこの大学病院の外科病棟に看護師として勤めて5年目。現在27歳である。
病院に着くとユニフォームに身を包み
髪を束ねて職場に向かう。
「あ!陽葵おはよ〜っ」
歩いていると明るく高い声で話しかけてくる女性看護師がいた。
同期で親友の坂井若菜である。
新人の時から助け合いながら成長してきため普段からお互いに励まし合い良き相談相手でもある。
「おはよ。今日も忙しいかな?
なんかねー気合入れてきたけど身体だるくて。」
「ねー、わかる。新人もきたから真面目な陽葵は気を使ってるんだよきっと。」
「それは若菜も一緒でしょ?」
「たしかに!でも、私は陽葵みたいにくそ真面目じゃないから全く深く考えないしさ。お気楽が勝ち組です!」
冗談混じりで勝ち誇ったように言う若菜
「なにそれ!いいなぁその性格!私もそんな風になれたらいいのに〜」
「うふふ……
っと!
ところでその陽葵の気だるさは
まさか、勇輝が原因?早く帰りたいなんて…
まさか昨夜はイチャイチャしすぎたの?
勇輝、そこんとこ底なしって感じするからな〜」
「んなっ///
若菜も職場でそんなことは言わないでいいの。
仕事仕事っ」
からかう若菜に照れ隠しで逃げようとする陽葵。
「なーにはぐらかして〜」
はぐらかす気はなかったが
親友である若菜には今の気持ちは伝えてもいいと思った。
「……それがね。
はぐらかしてるわけではないんだけど
最近なんか微妙なんだよね……ゆーちゃん。
すれ違いもあるからかもしれないけど
私に興味ないような気がしてさ。」
「ふむふむ……もう同棲してるし3年経つもんね。
マンネリかな?それとも関係近くなって家族みたいな存在になってるのかな。
いいタイミングでこれからのこと話してもいい時期なのかもね。」
「そうかも。」
何かあるならいつでも言ってと若菜は陽葵の背中をそっと叩きステーションに行く。
陽葵も頼りになる若菜を見つめ、
そんな時期なのかなと実感しながら歩いていく。
時刻になると
ステーションにナースが集まり今日の一日がはじまるーーーー。
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