暗い君

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ここは国の中でもかなりの規模を持つ医療施設のため病棟ごとの休憩室も広く、別に大きな社員食堂もある。人数も多いため自分たちと関わりのない人たちに関しては名前も知らないということも多い。 ーーー外科病棟 休憩室 「ほんとにあんた気をつけなよ!数少ない男性看護師が1人の女性看護師にべったりだと私たちが色々言われるのよ。あそこにはベテランの人もいるから。女は怖いのよー」 隣に座る若菜が後輩に注意する 「……」 そんな説教を目の前に座る後輩は肩を垂らし落ち込むように聞いていた。チラッと私を見る目が本当にわんちゃんなんだよね… なんだか可愛い ふふっ 「いけないいけない……笑っちゃった」 「……っ///」 不意に笑った陽葵をみた後輩は 顔を赤らめていた 泣くほど嫌なの?! なんだか惨めに思えてきた陽葵は声をかける 「まぁ今度から気をつけてくれればいいよ? だからこれを機にさ、色々な人にアドバイスを貰ってきな。よし午後も忙しいしお弁当食べよ〜。お腹空いた。」 「もう、あんたってばハッキリ言わないとダメな時もあるんだからね!」 隣にいる若菜は陽葵に肘でつつかれながら一言言うが 目の前の後輩の返事の勢いにびっくりする。 「はい!!気をつけます!! ただ、俺は佐藤さんが好きなので気づいて欲しいなぁなんて思ってるだけなんです」 「 「はい?!」」 私はその言葉に驚きをかけせず声を出してしまった。 「俺は本気なんですけど…… この病棟に入職してから一目惚れで、それからずっと気になって気になって。」 モジモジしながら話す後輩 私の事好きっていうの本気だったの? 一目惚れか、あの時もそんなこと言われたな。 「そうだったの。ごめん……ね」 と言いかけると隣の若菜が笑いながら後輩の肩を叩いていた。 「ちょっと……あんた本気だったの?!しかも私もいるのに告白するなんて…… あからさまだなぁとは思ってたけど、でもその根性気に入った!」 グッドとジェスチャーして後輩に言った。 あ、私がちゃんと断らないとね 「あ、あのね。私……彼氏がいるの。受け取れないって言うか……」 その言葉に後輩は泣きそうになる。 「ですよね…… 佐藤さんみたいな綺麗なお顔のナイスバディで 肌もツヤツヤ、毎日お弁当手作りで持ってきてって 素敵女子が彼氏さん居ないなんてありえないですよね……少しの希望も持った俺が馬鹿でした。はぁ帰りたい」 落ち込む後輩。 色々どこ見てたの?って つっこみたくなったけど…… 「そうよ〜。こんな女子ほっとかないって。 しかも、今の彼氏と同棲中だし更にイケメンだし。 あ、でも今は少し入る隙間あるかも?」 と私を見てくる若菜。 へっ?! あ、朝のことかぁ…… 後輩くんの前であんまり…… 「あ、ほんとに私なんてやめといた方がいいんだから。もう私アラサーだし、他に若い子沢山いるよ?」 隣の若菜だって黒髪美人でサバサバしててモテるし、他にも若い子たくさん可愛い子もいるのに。 「そんなことないですってば。俺には佐藤さんが1番美人なんです!色気あるし、優しいし、教え方上手だし…… というか入れる隙間あるんですか? もうそばにいれるならセ〇レでも!」 「おいおい!!!」 ドスッ! すかさず後輩の頭に若菜の拳が飛んだ。 「イッ!!……くっ俺本気だったのに」 色々突っ込みどころ満載だけど ちょっと怖いなこの子、ここ休憩室で今はいいけどね。 ……いやいやそこまでなの? 最近の子たちはそんな感じなの?おばさんになったなぁ。そんなこと言ったら、先輩たちに怒られそうだけど。 「ちゃんとした付き合いにしなさいな。」 若菜が後輩に注意していた。
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