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「なんだよ、お前らまた喧嘩したの?」
上から下まで俺はボロボロ。それは隣の恵太も同じ。
クラスメイトの幸助から呆れたような顔で言われ、元々きつく寄せていた眉間をさらにグッと険しくさせた。
恵大とは意地でも目を合わせない。一瞬だけチラッと合いそうになり、お互い即座にふいっと逸らした。
「恵太が悪い」
「道哉が悪い」
恵太と声が被った。ムカツク。
すげえキライ。超キライ。ほんとキライ。大っ嫌い。いっそ今すぐ死ねばいいのに。
ひっかき傷はピリピリと痛いし、殴られた頬は重たくて熱いし、弾みで切った口の端からは鉄の味がして不愉快だ。
どれもこれも恵太が全部悪い。恵太も酷い状態だけれど、それでもやっぱりこいつが悪い。
屋上のフェンス越し。恵太と並んで腰を下ろしたまま、またしても不意に目が合いそうになって同時にぱっと視線を外した。
うざい。キライ。全身の神経がビリビリする。なんでこいつこの世に存在してんの。
「まったく……どうしてお前らはそう仲がわりぃんだかな。お互い気に食わねえんなら一緒にいなけりゃいいだろうよ」
「だって恵太が…」
「だって道哉が…」
また被った。
「「…………」」
いちいちムカツク。
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