旋律の果てに

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雨の日が嫌い。 私の心はズタズタに張り裂けそうだった。 3年間付き合っていた2つ年上の彼氏と別れた日。 私はずっと愛されていると思っていた。 それなのに、彼には本当は奥さんが居た。 ずっと、独身だと騙され続けていた私。 お酒もよく飲む人で、お酒を飲むとたまに暴力も振るわれていた。 それでも、彼の事が好きで離れる事が出来なかった。 「別れないと(しずく)の身体が持たなくなるよ……?」と友達に心配されても 「これ位、大丈夫だから!」と笑顔で返していた程に。 それなのに、彼には奥さんが居た。 私は知らない間に不倫相手だったと突き付けられた。 その奥さんとの間に子供が出来たから、別れて欲しい……と。 結局、私は彼に遊ばれていただけだった。 なんの為に暴力に耐えていたのか。 なんの為に友達との時間も削ってまで会っていたのか。 全部、分からなくなった。 「お前とは体の相性が良かったから今まで付き合ってやっただけだろ。お前みたいな面白味のない女に体以外の取り柄があるとでも思ってたなら馬鹿としか言いようがないな。やっと別れる口実が出来て嫁に感謝してるくらいだよ。あぁ、それから先に言っておくがバラすなら好きにしろ。お前も人生終わるけどな。じゃあな。」 最後に聞いた彼の言葉。 私は何も言えず、ホテルから出ると、ただ土砂降りの雨の中泣きながら走り出していた。
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