IF case.003 本当ノ気持チニ、少女タチハ、気ガツキ始メタ。

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IF case.003 本当ノ気持チニ、少女タチハ、気ガツキ始メタ。

※この小説は「Project COLD」の即興二次創作小説です。本編のストーリー及び設定を遵守していない内容を含む場合があります。それが嫌な方はブラウザバックを推奨します。 設定: 理也の死によって血の人形事件は終わったのだと思い込んでいた冬休みのある日。 三嶋が黒幕であることを知ることになる。 ========= THAWING ========= 「なん、で……なんでよっ!!」 動けない。 身動きが取れないように、全身が縄のようなもので縛られている。 まさかこんなことになるとは思ってもいなかった。 恐怖よりも驚きが勝っている。 「なんで先生がこんなこと!!」 夜遅くに私の家を訪ねてきた三嶋雅也先生。 学校に馴染めていなかった私に、劇団あかぐまという居場所を与えてくれた。 困っていることや悩みをしっかりと目を見て聴いてくれた。 そんな尊敬する先生だった。 だが、そんな先生は今、私の部屋で私を縛り床に放置したまま、ベッドに足を組んで座っている。 「綾城さん。君は1つ勘違いをしています。私が劇団あかぐまへの入団を勧めたのは、教師としてでも優しさでもない。監視の目が行き届くようにする為です」 「監…視……?」 先生の口元から笑顔が消える。 そして普段は見せないような、感情のこもっていない形相へと変わった。 全身に鳥肌が立つ。 恐怖。先生から初めて感じた感情。 「そう、監視です。私は死神が殺すターゲットを監視する存在であり、時に死神にもなり得る存在なんですよ」 どういうこと? 先生が死神の正体だったの? でも、どうして先生が……? どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして…… 頭が上手く整理出来ない。 いくら考えても何も分からない。 「じょ、冗談……です、よね?」 すべてが嘘であって欲しかった。 今までのことが全て白黒とした思い出に変わっていくように思えた。 「事実ですよ。君は少し現実というものを目を逸らさずに見たほうがいい。あ、これは教師としての教えです」 先生はいつもの笑顔を見せてきた。 そして、今まで見てきたもの全てが演技だったのだと、私は理解した。 「……こんなことをして、ただで済むと思ってるんですか」 「ただで済みますよ。そういう人を選んでいますからね。あ、PC借りますよ。へー、新品なんですね。結構高い良いやつじゃないですか。誰かにオススメして貰ったのかな?例えば森いちごさんとかーー」 三嶋はPCの電源を入れApexを起動する。 「何する気?まさか人の家にまで来てゲームがやりたかったの?」 「いえ、別にゲームなんてどうでもいいんです。私がしたかったのは森いちごさんとゲームをして、特定の場所に呼びつけたい。ただそれだけです」 「呼びつけて、どうす……」 私は言葉を噤む。 この先のことはバカな私でも聞かずともわかる。 三嶋は殺す気だ。殺す気なんだ。 私名義でいちごを呼びつけて、そのまま……。 身体の震え。 考えるたびに呼吸が荒くなっていくのが分かった。 「綾城さん。何怯えているんですか?大丈夫です。あなたはシラノの大事な器。殺しはしませんよ」 招待を送るといちごのアバターが画面に姿を表す。 「では綾城さん。これから私はいちごさんとゲームをするのでお静かにお願いしますね」 ヘッドフォンをつけ、三嶋は画面に向かった。 どうしてこんなことになってしまったのだろう。 ヒカリも静も死んで、理也が犯人だと思っていたけど、それも違って。 みんなみんな死神に殺された。 みんなコイツに殺されたんだ。 6人死んだからこれで終わりだと思っていた。 違う。早く終わりたかったんだ。 私も早く終わらせたかったんだ。 ZOOMでは調査をしようなんてきれいごとを並べて言ってはみたけど、本心から続けたいとは思っていなかった。 だから、6人死んだら終わりだという、確証性の無いことを信じてしまった。 「私のせいで……私のせいで今度は…いちごが」 目の前が歪み始める。 気がつくと声を出さずに涙を流す自分がいることに気がついた。 ……あれ、おかしいな。 ヒカリや静、理也が死んでも泣かなかったのに、涙なんて出なかったのに、いちごを失うということを想像すると、何故か涙が溢れてくる。 ごめん、いちご。 ……ごめん。 ーーピンポーン 突然インターホンが鳴った。 インターホン……人っ!? そうだ、今なら助けて貰えるかも知れない。 早く助けてもらって、いちごにこのことを伝えるんだ。 三嶋の方を見ると、どうやらゲームに集中して気がついていないらしい。 今だ、今しかない。 「……っ!!」 私は芋虫のように床を這いながら扉にたどり着く。 手足は使えないので、口で鍵を加えて解錠する。 すると扉に体重がかかり、そのまま扉と共に外へと身体が飛び出した。 「え?奈々乃ちゃん?……なんで縛られて……奥に見えるのは……先生?」 聞き馴染みのある声がした。 「な、なんでいちごがここに?!」 驚いた。予想外だった。いや、誰も予想できるはずもない。 だっていちごは三嶋とゲームをしている……はずだ。 確かにこの目でそれは確認した。 じゃあ、目の前のいちごは一体……。 ははっ、もしかして幻覚でも見ているのだろうか。 幻覚でもなんだっていい。 目の前にいるのが誰だっていい。 早くここから逃げないと。早く伝えないと。 「いちご!!実は今っ」 「その……もしかして私、お邪魔だったかな」 「お邪魔?そんなわけ……」 ……ん? 「学校でも先生と仲良かったし、何かしらある気はしていたけど、まさかここまで進んでいたなんて……」 ……んん? 「確かに奈々乃ちゃんの裏垢でも、先生とのツーショットがあったし、あの表情とか発言的に、好意寄せてる説濃厚かなーとか思ってはいたけど、ここまでとは予想外だったなぁ」 ……んんん? 「まぁでもそうだよね。奈々乃ちゃん可愛いし、先生が落ちるのも無理はないよね。うん。流石奈々乃ちゃんだね」 んんんんん?? 「その、夜中に突然ごめんね。だ、大丈夫!!先生と奈々乃ちゃんの関係とか、奈々乃ちゃんの性癖とか、今日見たことは全部全部、学校で絶対に誰にも言わないから!!じゃあ、また明日ーー」 スタスタと小走りで歩き遠ざかるいちごを見ながら、私はフリーズした。 いやいや、そんな時間はない。 「待って!!いちご待って!!勘違いだからっ!!全部、勘違いだからっ!!お願い止まって??ねぇ??戻ってきてぇーー!!」 その後、事情を説明した私はいちごに助けられ、一緒に警察へと向かった。 あの状況を見て勘違いするなんて、いちごの天然さには相変わらず恐ろしいものを感じてしまう。 兎に角にも冬休みが明けて、学校に行くと、私たちを支えてくれていた校長と三嶋の姿はありませんでした。 ーーーーー 三嶋がゲームを始めた時を同じくして、いちごの部屋には、1人の男の人影があった。 組織から「unknown」と呼ばれているその男は、常に足跡を残さず、自分の存在を誰にも気が付かれないようにすることにとても長けていた。 そんな男は、部屋にあるとても高そうなゲームパソコンを見て、電源をつけずにはいられなかった。 男は大のゲーム好きだったのだ。 Apexを起動すると、ayashiro_nanaというリーパー担当のターゲットらしき人物から招待が届いた。 なるほど、彼女はゲーム中というわけか。 今朝のリーパーからの連絡的に恐らく、リーパーは彼女を連れ去る為に現地へ向かっているはずだ。 仕方ない。彼女がリーパーの存在に気がつかないよう、私がゲームの相手をしてやるとしよう。 この時、私は判断を間違えていることに気がつかなかった。 いや、気がついていたのだ。 でも気がつかないふりをしていただけなのだ。 深く考えなくともわかるだろう。 50代の男が、女子高生の部屋に侵入し、勝手にパソコンを起動して、ゲームを始めているのだから。 全てがおかしい。何もかもがおかしい。 どう解釈しても犯罪臭しか漂ってこない。 現実問題、犯罪をしているのだから、それが正解なのだが……。 でも仕方ないだろう。 だって、この素晴らしいマシンでゲームがしたかったのだから!! 本来の目的は、森いちごの誘拐と殺害であったが、本人の姿はないし、仕方ない。 うん、仕方ないのだ。 もう全て仕方ないのだ。 さて、ゲームだゲーム。 私は招待に承諾すると、ターゲット(?)とゲームを始めた。 その後、通報を受けた警察がかけつけ、逮捕されたことは、これを読んでいるそこのあなたはお気づきであろう。 三嶋雅也、花山純一郎。 不法侵入と殺人予備罪と脅迫の罪で現行犯逮捕。 こうして、血の人形事件は幕を閉じたのだった。 ーーーーー 「ふぁぁ……今日もあまり眠れなかったなぁ」 最近は何故か、よく眠れない日が続いています。 あの日以来、私は目を閉じるたびに、奈々乃ちゃんのあの姿を思い出してしまうから。 ほどよくはだけた制服に、手足の自由は縄で奪われ、目から涙を零す、あの姿を。 思い出すだけで、全身がゾクゾクとした感覚に襲われると同時に、満たされる何かを感じ、もう一度あの姿を見たいという素直な感情が芽生えるのは、なぜなんだろう。 私のことを昔からいじめてきた奈々乃ちゃん。 最近いい子に見えます。 でも本質はいじめっ子の頃のまま。 そんな奈々乃ちゃんに対して、恨みや復讐の感情を持ったことはありました。 でも今は違う。 奈々乃ちゃんを縛りたい、独占したい、独り占めしたい、私の物にしたい、自分の手で泣かせたい、顔がくしゃくしゃになるまで泣かせたい、全ての自由を征服したい、抱きつきたい、怯える姿が見たい、懇願する姿が見たい……。 「いちご、おはよー!」 学校に向かう途中、奈々乃ちゃんと出会いました。 「おはよう、奈々乃ちゃん」 「うー、昨日より少し寒いよね。カイロ持って来ればよかった……」 「寒いならスカート丈を短くしたり、首元のボタン外さなければいいんじゃ」 「いちご……オシャレはね、我慢なのよ。我慢なのよ」 「そ、そうなんだ」 奈々乃ちゃん。オシャレは我慢なんてもう古いよ、とは流石に言えません。 今のトレンドは楽にオシャレに、なのです。 まぁでもネットの記事で見ただけの情報だから、本当なのかはわかりません。 こうして、私はいつものように駄弁りながら、奈々乃ちゃんの隣を歩きます。 ただ今日は一つだけ違うことがありました。 それは、カバンに縄が一本入っていること。 「奈々乃ちゃん。今日うちに遊びに来ない?」 「暇だし行きたい!」 回答を聞いて心の中で思いました。 私、もしかしたら。 ーーいじめっ子になってしまうかもしれません。 Next Stage...
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