IF case.002 オ正月ハ、ミンナデ過ゴスト、ヨリ楽シイ。

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IF case.002 オ正月ハ、ミンナデ過ゴスト、ヨリ楽シイ。

※この小説は「Project COLD」の即興二次創作小説です。本編のストーリー及び設定を遵守していない内容を含む場合があります。それが嫌な方はブラウザバックを推奨します。 設定: 都まんじゅうのメンバーが全員生存している中でのお正月。 それぞれが思い思いに過ごしている。 ※勝手な設定が混ざっていますので、嫌いな方は見ないこと推奨。 ※キャラ崩壊はなるべく避けてますが、ヒカリと理也のキャラがまだつかめてないです。 ========= THAWING ========= 2020/12/31 13:00 「学校の課題よし!部屋の掃除よし!あとは……」 私はテーブルの上に置いたスマートフォンを手にすると、LINEでメッセージを送った。 ーーみんな!今なにしてる?? 佐久間ヒカリ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 戦場。 そこでは私以外すべてが敵である。 近代的な武器から、未来的なレーザー銃まで様々な銃を使い、敵を殲滅する。 情けなどはない。 負傷して動けなくなっている敵にも、仲間の元へ後退してゆく敵にも、容赦なく銃弾を浴びせ、息の根を止めるのだ。 そしてーーーー 「よっしゃぁ~!!」 最後の敵を沈め、デスクトップ画面には〝YOU ARE THE CHAMPION〟との文字が表示されていた。 「ん~~~、はぁ……」 鐘の音が近くで聞こえた年明け。 年越しそばを家族と食べ、お風呂に入り、ゲーム実況者のお正月生配信を見て……。 既に時間は3時を回っていたけれど、少しだけゲームをしたい。初詣ならぬ初ゲームをしたい。 そんな感情に駆られてゲームをすること6時間。 敵に殺される度に『次でやめよう!』『次こそ本気出す!』 敵に勝つ度に『よっしゃぁ~!!次だ次!!』『次も勝手見せる!!』 ……何度もやめようと考えた。 でも、いつしかゲームの辞め時を見失い、どうやら私は朝までゲームをしてしまっていたらしい。 既に天高く上る日の光がカーテンの隙間から見える。 壁伝いに家の喫茶店の音も聞こえてくる。 ……もうこれ、朝だよね。 「ん~~~、はぁ……」 眠い!!本当に眠いっ!! 眠いけど、眠たいんだけど、今寝ると夕方まで寝てしまう自信があるから、寝ようにも寝れない。 でも今寝ておかないと夕方まで持ちそうに無いし、どうしよう。 「ああ~、眠い~!!でも今寝たら確実に一日が潰れちゃう~」 クッションを抱えながら、右へ左へ、右へ左へ。 カーペットの上をコロコロ転がりまわる。 これだけグダグダとゲームをやっていても、くだらないことを考えていても、誰からも怒られないのだから、長期休みはいいものだ。 「こんなにダラダラしてるところ……誰にも見せられないなぁ~」 その時、扉が開いた。 「いちごー?暇だったから遊びに来たんだけど……」 そこには綾城奈々乃の姿があった。 「えっと……なにしてるの?」 「…………」 何も言わずに起き上がると、ズレたカーペットをずらして床にストンと座り、私は何も無かったかのような笑顔で言ってやった。 「奈々乃ちゃん、おはよう!」 ーーーー 12月31日、大晦日。 この日に大掃除をする家庭が多いと思う。 私の家もその家庭の1つです。 家族が多いので、自分の部屋は自分で掃除をして、早く終わった人は他の人を手伝うことになっています。 私は遠慮しがちな部分があり、両親におねだりというものをしてこなかったから、部屋に物が少ないです。 シンプルで整理された部屋と言えば聞こえはいいけれど、それでもやっぱり寂しさを覚えてしまうこともあります。 もっと積極的になれればと思うこともあるけど、簡単になることは出来ないのが現実というものです。 「とりあえず弟の手伝いにでも……」 ピンポーン!! インターホンが鳴った。 掃除機の音で他の人には聞こえてないようだし、私が出るしかないか。 玄関へと向かうと誰がいるのかも確認せずに、私は。 「れーこ、いや玲子様!!お願いがあるんだけどさ……冬休みの課題見せて!!」 そこには岩永静の姿があった。 「岩永さん……急にどうしたの?」 「冬休みの課題見せて!!」 そういって手に持つ課題のプリントと鉛筆を目の前に晒してアピールしてきます。 「まだ課題終わってなかったの?」 「うん、まだ終わってなくて……ってもう終わったの!?」 「内容が簡単だったし、あれくらいなら誰でもすぐに……どうしたの岩永さん?」 岩永さんは地面に手をつき「うぉおおおおお」と小さな声でうなっています。 「あのー、もしかしてれーこ。私の心を折りに来てる?」 「そんなつもりはないけど……本心はしっかり隠した方がいいとは思ってる」 私は指を指します。 岩永さんの背後のリュックから飛び出ている人生ゲームという名の本心を。 「い、い、いやいや。これは違う。違うんだよ?別に課題を利用して一緒に遊ぼうとか、そういうのはぜんっぜん考えてないんだよ?ただ、終わってから少し遊べたらなぁとか思って……」 多分、最後が一番の目的なんだろうなぁ……。 岩永さんのとても考えていることが分かりやすくて、何事にもまっすぐで。 そういうところが私は好きだ。 「そう。なら課題を教えてあげる。その代わり、私の家の掃除を手伝ってくれる?」 「そのくらいなら全然オッケー!!」 家族に遠慮しがちな私だけど、岩永さんになら少し甘えてもいいのかな。 なぜだか不思議だけど、そう思えたのです。 ーーーー 私は一時期、路上ライブをしていたことがある。 こうして駅前を歩いていると、その当時のことを思い出してしまう。 私がギターを抱えて駅前にやってきたのは、とにかく暇だったから。 LINEでみんなに連絡してみたけど、返信は来ない。既読もつかない。 大晦日だし、みんな忙しいんだろうなぁ。 そう思って待っていたけど、結局返信も既読も来なくて、いつの間にか夕方になっていた。 「ど、どうしよう。なにか、なにかやらなきゃ一日が終わっちゃう!!」 そして特別な理由があるわけでもなく、私は駅前で久しぶりに路上ライブでもしてみようと思ったのです。 駅前に到着すると、既に人だかりが出来ていた。 そして、空気を介して伝わってくる重低音。 誰かが演奏しているのかな? いや、これは。 私はその音、音色を聞いたことがあるように思えた。 ゆっくり近づき、人だかりをかき分けて顔を出す。 そこにはーー 「りっちゃん?」 「ん。……ヒカリ?」 星野理也が1人ベースを弾いていた。 「こんなところで会うなんて偶然だね!!」 「そうだね。ヒカリはどうしてここに?」 「いやー、誰とも連絡が付かなかったから暇で暇で。なんとなく久しぶりに路上ライブでもしてみようかなって」 「ああ、ごめん。今スマホの電池切れてる」 「いいよいいよ。そうだ!!私、りっちゃんの演奏聞いていこうかな!!」 「それもいいんだけど……せっかくならどう?一緒に」 「え?いいの?!」 「いいよ」 りっちゃんの言葉を聞いた観衆は拍手をしながら、私の通る道を開けていくので、とりあえずりっちゃんの元へと向かった。 「じゃあやろうか」 「うん。でも準備するからちょっと待ってて」 こうして私とりっちゃんの、即興セッションが始まった。 こんな大晦日も悪くはないなと思った。 Next Stage...
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