除夜の鐘を聞きながら

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 言葉が終わるか終わらないかのうちに、静流は紫苑を体の中から追い出した。 「……ばっかじゃないの?」  紫苑から背を向けて丸くなる。自分だけ裸であることが今更ながらとても恥ずかしい。 「しず、何怒ってんだよ」 「そんっなくっだらないことのために、ものも言わず必死になって腰振ってたってこと?」 「ん、ああ、やっぱり5.4.3.2.1.発射! みたいなさ、そんなんよくね?」 「バカ‼︎」  静流はゲラゲラと笑う紫苑にクッションを投げつけた。 「ぼっ、僕は、悲しくて虚しくて、サイテーの年越しだったよ……っ」 「へ……?」 「紫苑、怖かったし、なんか怒らせたかなって…」  眦が光り、抱いていた時よりもみるみる顔が紅潮していく静流。またやらかしちまった、と紫苑は気づいた。 「ごめん」 「別にカウントダウンに合わせる必要ないし! それ以前に、そんなに慌てて帰ってくるなり始めなくてもいいのに」  唇が戦慄いているのは、怒りからなのかそれとも悲しみからなのか。 「ごめんて、しず」  自分がひん剥いた衣服を、静流にかけてやり、肩を抱いて、叱られらやしないかとびくびくしながら紫苑は話した。 「でもしず、気づいてた? 俺ら毎年ヤりながら年越ししてたの」 「えっ」  今度は違う意味で静流の顔が赤く染まった。 「マジだよ、一緒に暮らすようんなってからずっと。だから俺、今日も年越し前にはぜってー帰ってきて、しずと繋がって新しい年を迎えないと、って」 「そう……だったっけ」  毒気を抜かれて放心状態の静流。 「そーなんだよっ! 俺は全部覚えてるからな! ……今年も、よろしくな」  まだぼーっとしてる静流の額に口づけを落とした。 「こちらこそ」  今度は静流が、紫苑の唇に。  ようやく二人に笑顔が戻り、無事新しい一年が幕を開けた。 「ってことで、パーッとヤりなおすか!」 「……やっぱりバカだよね、紫苑は」
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