潔癖OLは愛を知らない。

運命の人って、どこにいるんですか。

辛い。あまりにも辛すぎる。

存在しない＂元カレ＂という物体を作り上げ、何をしている人だったのか、どんな喧嘩が原因だったのか、どっちから告白したのか、洗いざらい吐かされる、この苦行！

知らねぇよ。クリスマスプレゼントは何あげたかとか。

去年のクリスマスは、彼氏いない友達同士でカラオケオールしてたよバーカ！

無駄にクリスマスソング熱唱して、自分たちを追い込みまくって、なんにも面白くないのに腹がよじれるほど笑ったよバァァカ！！

「あ～～このサーモン美味し～～」

さっさと恋愛話から逃れたい私は、先程から「サーモン美味しい」しか言っていないことを、この男性は気付いているのだろうか。

「で、バレンタインは手作りチョコ作る派？」

「……」

その話題が果てしなくしょうもないということに、この人はいつまで経っても気付かないだろう。

しわくちゃのよく分からない土色のシャツに、色褪せたデニムのジーパン。腕にはセンスの疑う革のブレスレット。

あー、モテないんだろうなー。

そんな失礼極まりないことを思いながら、相手の咀嚼する姿を眺める。