Book12「執(しつ)恋」

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゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚ 「……櫻子があんなにエッチだったとは、思わなかったなぁー。 まさか、自分からカラダを押しつけてきて、もっともっとって『おねだり』するなんてさ。 まるで、娼婦みたいに色っぽかったよ。昼間の清楚なイメージとは真逆だったね。 ……もちろん、僕は大歓迎だけどね」 しみじみと語るシンちゃんのありえない言葉に、わたしは危うくおみおつけを噴き出すところだった。 「ちょ…ちょっと、朝ごはんのときに言うことじゃないでしょっ!」 白ごはんに豆腐とネギと油揚げのおみおつけ、そして納豆に甘くないだし巻き玉子という、これぞ「正統派ニッポンの朝ごはん」を前にして、なんてこと言うかなっ!? ……まぁ、つい先刻(さっき)まで「あんなにエッチ」なことをさんざんしていたおかげで、もうとても「朝ごはん」とは言えない時刻だけれども。 「ごめん、ごめん……櫻子が僕のものになったことが、うれしくてね」 そう言うと、シンちゃんの顔が近づいてきて、わたしのくちびるに、ちゅーっとキスをした。 ……今までは、軽くちゅっ、って感じだったのに。 わたしは手にしたおみおつけのお椀を落っことしそうになる。 「もおっ、シンちゃんっ!」 昨夜までは、わたしたちはダイニングテーブルに対面で座っていた。 今日になって、隣同士で座りたい、とシンちゃんが言いだしたのは、こういうことをしたかったためだとわかった。
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